アメリカのコロナウイルス感染者が中国を追い抜く

 世界経済の行方は、アメリカの浮き沈みにかかっていると言っても過言ではない。27日、アメリカのコロナウイルス患者は85,000人を突破。中国(81,782人)とイタリア(80,589人)を追い抜き、コロナウイルスの新たな震源地になった。

 ただし、死者数(約1,300人)に関してはイタリア(8,215人)と中国(3,219人)を大きく下回っている。数日前、ドナルド・トランプ大統領は、「コロナウイルスは近いうちに終息する」と述べたが、ウイルスとの厳しい戦いはまだまだ続きそうである。

 26日の午後、ホワイトハウスで会見したトランプ大統領は、中国の感染者数および死者数に対し、「中国の数字は分からない、信用できない」と述べた。さらに、「コロナウイルス対策措置(外出禁止令、企業活動の停止など)の終了予定日は4月12日頃だろう」と付け加えた。なお、ウイルス対策班の責任者であるペンス副大統領は、全50州でPCR検査を行える体制が構築され、これまでに550,000件を超える検査を実施したと説明した。

 厳しい対策措置が発令されたことにより、330万人ものアメリカ国民がレイオフ(一時的に解雇)された。トランプ大統領の対応の遅さ、労働者層をないがしろにした対策は、多くの批判を集める結果になった。

 26日の夜、トランプ大統領は、影の大統領報道官と呼ばれているFOXニュースのショーン・ハニティー氏の番組に電話をかけ、「アイオワ州、アイダホ州、ネブラスカ州、テキサス州の一部が他の州より早く措置を解除できるだろう」と語った。

 トランプ大統領は、3月16日にコロナウイルス感染拡大を防止する「ガイドライン(感染拡大を遅らせるための15日間)」を発表した。しかし、ガイドラインはあくまで自主的なもの、強制力はなく、感染拡大措置等を発令する権限は、あくまで州知事に委ねられている。

 すなわち、コロナウイルス対策に関連する制限等の解除を決めるのは州知事の責任。現在、21の州で外出禁止令が発令、必須と判断されない企業活動は停止されている。トランプ大統領の言う4月12日にアメリカが元通りに戻る可能性は、極めて低いと言わざるを得ない。

アメリカ国内で発生したコロナウイルスに関連するニュースは以下の通り。
・ニューヨーク市の緊急医療ダイヤルにかかって来た電話が24時間で6,400件を突破。同時多発テロ当日の件数を上回る。
・映画クロコダイル・ダンディー等に出演した俳優「マーク・ブラム氏」がコロナウイルスに感染し死亡。
・カナダ政府は、アメリカとの国境に軍隊を配置したい、というアメリカ政府の提案を非難した。
・ペンシルバニア州のスーパーマーケット、コロナウイルスに感染した女性が故意に来店、店内で咳をしたことで、35,000ドル以上の食品を破棄せざるを得ない事態になった。 

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