◎野党はアゼルバイジャンとの和平協定に合意したニコル・パシニャン首相の決断を非難し、辞任を求めている。
◎パシニャン首相は声明で、「議会の解散と総選挙の可能性について野党と話し合う準備ができている」と述べた。

12月25日、アルメニアのニコル・パシニャン首相は、議会の解散と総選挙の可能性について野党と話し合う準備ができていると述べた。

野党の支持者たちは、11月10日に発効したアゼルバイジャンとの和平協定および、ナゴルノ・カラバフの一部領土を奪われたパシニャン首相の決断を非難し、抗議活動を続けている。

アルメニア軍とアゼルバイジャン軍の44日間におよぶ激しい戦闘は、ロシアが仲介した和平協定で終結した。

協定調印後、パシニャン首相は、「あのまま戦闘を継続していればナゴルノ・カラバフは完全制圧されていた。痛みを伴うが和平協定は最善の手段だった」と政府の判断を擁護した。

パシニャン首相は25日の声明で、「市民は野党の要求を支持していない」と主張した。

ニコル・パシニャン首相:
「首相の座にしがみつくつもりはない。ただし、市民から与えられたポストを不用意に扱うことはできない。市民は和平協定の必要性を理解している」

「議会の解散と総選挙の可能性について野党と話し合う準備ができている」

ナゴルノ・カバラフは公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、1994年の紛争以来、アルメニア政府の支援を受ける民族軍の支配下に置かれていた。

9月下旬に勃発した戦闘の死亡者は、両軍の兵士および民間人を合わせて5,000人以上と伝えられている。

アゼルバイジャンは和平協定を「歴史的勝利」と祝った。一方、領土を奪われたアルメニア人の一部はパシニャン首相の決断に憤慨し、大規模な抗議活動を引き起こした。

2020年11月11日 AP通信/アルメニア、首都エレバン、ナゴルノ・カラバフをめぐる和平協定に反対する人々

和平協定(11月10日01:00発効)

・アゼルバイジャンは、紛争中に奪取したナゴルノ・カラバフの一部地域を保持。

・アルメニアはナゴルノ・カラバフのいくつかの地域から撤退する

・ロシアの平和維持軍1,960人を最前線に配備し、違法行為を防ぐ。

・トルコの平和維持軍も監視プロセスに加わる。

・ナゴルノ・カラバフの「解放エリア」にロシアとトルコの統制センターを設置する。

ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと

・2020年12月13日、アゼルバイジャンの国防省、アルメニア軍の攻撃で兵士4人が殺害されたと発表。

・2020年12月12日、アルメニアとアゼルバイジャン当局、ナゴルノ・カラバフ紛争の和平協定に違反したとお互いを非難。

・2020年12月5日、アルメニア、ニコル・パシニャン首相の辞任を求める大規模な抗議活動が行われる。

・2020年12月1日、アゼルバイジャン政府、アルメニア軍から取り戻したナゴルノ・カラバフの一部地域の開拓を完了したと宣言。

・2020年11月16日、トルコ議会、アゼルバイジャンとアルメニアの和平協定を監視する平和維持軍派遣を承認

・2020年11月16日、アルメニアのゾラブ・ムナサカニャン外相、辞任。

・2020年11月11日、アルメニア市民がアゼルバイジャンとの和平協定に抗議。国会を占領し、首相の辞任を求めた。

・2020年11月9日、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシアがナゴルノ・カラバフの紛争を終結させる和平協定に調印

・2020年11月9日、アゼルバイジャンの領土であるナヒチェヴァン自治共和国付近を飛行していたロシアの軍用ヘリ「Miー24」がミサイル攻撃を受け墜落。アゼルバイジャンはロシアに対し、誤った撃墜したと謝罪した。

・2020年11月8日、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの戦略的に重要な町、シュシャをアルメニア軍から奪取。

・2020年11月、中東の過激派勢力2,000人が紛争に加わったと伝えられている。アルメニアはアゼルバイジャンの同盟国、トルコが関与したと非難。

・2020年10月28日、アゼルバイジャンのバルダ県への空爆(クラスター爆弾)で民間人21人が死亡。

・2020年10月25日、アメリカの仲介による停戦合意が破綻。戦闘再開。

2020年10月25日、アメリカの仲介でアルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意

ロシアのプーチン大統領によると、9月末からの戦闘で少なくとも5,000人が死亡。.

2020年10月17日。10月9日の停戦合意は破綻し、民間人13人が死亡、40人以上が負傷した。

・約4,400平方キロメートルの山岳地帯。

・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた。

・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた。

公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている

・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている。

・ナゴルノ・カラバフの大統領(自称)はアライク・ハルチュニヤン。

自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない

・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた。

・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた。

・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない。

・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している。

・トルコはアゼルバイジャンを積極的に支援している。

・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている。

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