SHARE:

イエメン・フーシ派、サウジの石油パイプラインを攻撃したと主張

サウジの国営石油会社サウジアラムコは被害の有無や操業状況についてコメントを出していない。
2022年3月25日/サウジアラビア、西部マッカ州ジッダの石油備蓄基地(Hassan Ammar/AP通信)

イエメンの親イラン武装組織フーシ派は27日、サウジアラビア東部の油田地帯と紅海沿岸のヤンブー港を結ぶ原油輸送網の複数の施設を攻撃したと発表した。フーシ派の報道官は声明で、「原油の供給と輸送に関わる重要施設を標的にした」と主張し、攻撃はサウジ連合軍の無人機によるイエメン領空侵犯への報復であると説明した。

一方、サウジの国営石油会社サウジアラムコは被害の有無や操業状況についてコメントを出していない。

今回標的になったとされる東西パイプラインは、サウジ東部の油田からヤンブー港まで原油を輸送する重要インフラである。サウジ産原油は通常、ペルシャ湾からホルムズ海峡を経由して輸出されるが、米イラン戦争の激化を受け、ホルムズ海峡を回避できるこの輸送ルートの重要性が一段と高まっている。ヤンブー港は紅海側の主要輸出拠点であり、同パイプラインはサウジのエネルギー安全保障を支える戦略的設備と位置付けられている。

米国とイランの軍事的緊張が続く中、フーシ派は紅海やバブ・エル・マンデブ海峡周辺で船舶への攻撃を繰り返してきた。今月にはサウジの石油タンカーや紅海沿岸施設への攻撃が相次ぎ、サウジ軍はフーシ派の拠点があるイエメン西部ホデイダなどへの空爆を実施した。フーシ派はさらに攻撃対象を拡大し、サウジの石油輸送網全体を脅かす姿勢を鮮明にしている。

今回の攻撃を受け、世界の海運やエネルギー市場にも影響が広がっている。ロイター通信によると、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する貨物船やタンカーの数はこの1週間で大幅に減少し、数カ月ぶりの低水準となった。海運各社は安全確保のため航路変更や運航見合わせを余儀なくされており、物流の停滞や輸送コスト上昇への懸念が強まっている。

一方で、米国がイランへの空爆を一時停止し、外交的解決への期待が高まったことから、国際原油価格は前週の急騰から反落する場面もみられた。しかし、市場関係者は紅海とホルムズ海峡という2つの重要な海上輸送路が不安定な状況にあるため、供給リスクは解消されていないと指摘している。

中東では軍事衝突と外交交渉が並行して進む複雑な情勢が続いている。サウジは石油施設の防衛体制を強化するとともに、原油輸出の安定維持を最優先課題としているが、フーシ派による攻撃が長期化すれば、世界有数の産油国である同国の供給能力や国際エネルギー市場への影響は避けられない。地域の安全保障とエネルギー供給の双方を巡る緊張は、今後も国際社会の大きな懸念材料となりそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします