コンテンプト・オブ・コート 2-30
総合建設企業テラ・インフラテック本社。
朝。
最上階の執務室。
ケンドリック・コールは窓の前に立っていた。
机の上には、カーターの事件資料が置かれている。
コールは資料を一枚めくった。
そのとき、携帯電話が鳴った。
画面を見る。
ジョニーだった。
コールは電話に出た。
「何だ?」
「奴が来ます」
「ハンターか?」
「はい」
コールは窓の外を見た。
「どこにいる?」
「こっちへ向かっています」
「女は?」
「ここにいます」
「そうか」
コールは少し黙った。
「裁判は?」
「予定通りなら、もうすぐ始まります」
「なら、時間がないな」
ジョニーが言う。
「どうします?」
コールは机の上の資料に目を落とした。
「裁判を阻止するか」
一度、言葉を切る。
「息の根を止めろ」
ジョニーは笑った。
「両方止めます」
コールは黙った。
「できるのか?」
「やります」
コールは椅子に座った。
「やっとやる気になったか」
「最初からあります」
「なら、好きにしろ」
コールは携帯電話を握った。
「責任は取る」
ジョニーが黙る。
「暴れろ」
「分かりました」
「ただし、一つだけ覚えておけ」
「何です?」
「マイク・ハンターを逃がすな」
「了解です」
コールは電話を切った。
携帯電話を机の上に置く。
しばらく窓の外を見ていた。
アンカレッジの街が広がっている。
市長殺害事件の公判が始まろうとしている。
それを止めるために、すでに人が動いている。
コールはカーターの資料を閉じた。
「ハンター……」
小さく名前を口にする。
それ以上は何も言わなかった。
そのころ。
アンカレッジ市内。
一軒のバー。
開店前の店内には、人の姿が少なかった。
奥のテーブルにジョニーが座っている。
ローリーは少し離れた椅子に座らされていた。
その周囲には男たちが立っている。
ローリーは腕を組み、ジョニーを睨んでいた。
「まだ来ないの?」
ジョニーは時計を見る。
「もうすぐだ」
「マイクが来たら、どうするつもり?」
「さっき聞いただろ」
「聞いてない」
「それは、これから分かる」
ローリーは鼻で笑った。
「あなたたち、馬鹿じゃないの?」
ジョニーが眉を寄せる。
「何だと?」
「私をさらって、マイクを呼び出して、それで勝てると思ってるの?」
「勝てるさ」
「そう」
ローリーは男たちを見る。
「何人いるの?」
ジョニーは答えなかった。
店内には複数の男がいる。
その中には、軍事企業の装備を身につけた者もいた。
ローリーはそれを見ていた。
「ずいぶん大げさね」
「用心してるだけだ」
そのとき、入口の外で車が止まる音がした。
ジョニーが顔を上げる。
「来たか」
男たちが一斉に入口を見る。
ローリーも振り返った。
店の外から、足音が近づいてくる。
一つではない。
ジョニーが立ち上がった。
「全員、準備しろ」
男たちが動く。
ローリーは黙っていた。
やがて、バーの入口の前で足音が止まった。
ジョニーが入口を見た。
「こい」
入口のドアが開いた。
