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ハンガリー、ドナウ川の水位低下で原発停止、猛暑続く、危機的状況

パクシュ原発はロシア製の4基の原子炉を備え、総出力は約2000メガワットに達する。
2026年7月31日/ハンガリー、パクシュ原子力発電所の概観(ロイター通信)

ハンガリーが国内唯一の原子力発電所であるパクシュ原子力発電所の全面停止という異例の事態に直面している。ドナウ川の水位が記録的なレベルまで低下し、原発の冷却に必要な水の確保が困難になったためである。マジャル(Péter Magyar)首相は2日、今後数日間を「極めて重要な期間」と位置付け、猛暑による電力需要の増加と供給不安への警戒を強めた。

パクシュ原発はロシア製の4基の原子炉を備え、総出力は約2000メガワットに達する。ハンガリーの電力供給を支える基幹電源であり、同国の電力の3分の1を担ってきた。しかし、長期間にわたる雨不足と欧州各地を襲う干ばつの影響でドナウ川の水位が低下し、冷却能力の確保が難しくなった。停止直前には発電能力が大幅に低下し、最終的に40年以上の運転歴で初めて全面停止に踏み切ることになった。

背景には、欧州全体で深刻化している異常気象がある。今夏は広範囲で高温と少雨が続き、河川水位の低下が発電設備だけでなく、物流や観光、水資源にも影響を及ぼしている。ハンガリーではドナウ川の水位低下により船舶輸送が混乱し、多数の自治体で給水制限も実施されている。

さらに、原発停止のタイミングで最高気温40度に達する猛烈な暑さとなり、冷房需要による電力消費の急増が懸念されている。マジャル氏は企業や公共機関、家庭に対して夕方の電力需要ピーク時に使用量を抑えるよう呼び掛け、大規模企業に対する強制的な電力制限も検討している。

政府は不足分を補うため、周辺国からの電力輸入拡大などの対応を進めている。しかし、輸入電力価格の上昇による経済的負担も問題となっている。今回の危機による追加コストは1000億〜2000億フォリント(約500億~1000億円)に達する可能性が指摘されている。

今回の問題は原発が必ずしも気候変動の影響から完全に独立したエネルギー源ではないことを示している。原発は二酸化炭素排出を抑える安定電源として位置付けられているが、河川水を利用した冷却方式では、極端な干ばつや水不足によって運転継続が困難になる場合がある。

ハンガリー政府にとって、今後の課題は短期的な電力不足を乗り切るだけでなく、気候変動による異常気象リスクを前提としたエネルギー政策の再構築となる。今回のパクシュ原発停止は、欧州の電力インフラが新たな環境リスクに直面していることを示す象徴的な出来事となった。

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