ドナウ川の水位低下で原発全面停止の可能性、危機的状況 ハンガリー
パクシュ原発は首都ブダペストの南方約100キロに位置し、4基の原子炉で国内電力需要の約半分を賄う基幹電源である。
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ハンガリーで記録的な干ばつが続き、同国唯一の原子力発電所であるパクシュ原子力発電所が運用開始以来初めて全面停止に追い込まれる可能性が高まっている。発電所に冷却水を供給するドナウ川の水位が観測史上最低水準まで低下したためで、政府は電力需給の逼迫を回避するため、大口需要家に節電を要請するなど緊急対応に乗り出した。
パクシュ原発は首都ブダペストの南方約100キロに位置し、4基の原子炉で国内電力需要の約半分を賄う基幹電源である。しかし、原子炉の冷却に利用するドナウ川の流量が著しく減少したことで十分な冷却水を確保できず、出力は通常の約200万キロワットから96万5千キロワット程度まで低下した。水位低下が続けば、4基すべての運転停止を余儀なくされる見通しで、44年に及ぶ運転の歴史で初の全面停止となる可能性がある。
ハンガリーでは今夏、猛暑と少雨が続いている。ドナウ川の水位は首都ブダペスト近郊で最低水準まで低下した。川底や砂州、岩場が露出し、観光船や貨物船が運航を停止するなど、物流や観光業にも影響が広がっている。気象台によると、降水量は平年を大きく下回る状態が続いており、短期間で状況が改善する見込みは乏しいという。
マジャル(Péter Magyar)首相は7月31日、原発の停止が数週間続く可能性があるとの見方を示し、企業や国民に対して改めて節電への協力を呼びかけた。政府の要請を受け、石油・ガス大手MOLは電力使用量を40%削減する方針を表明したほか、韓国系電池メーカーのサムスンSDIも水使用量を半減し、電力消費を約10%削減する対応を進めている。政府は国会日程の見直しや公共施設の装飾照明の消灯など、自らも節電策を実施する方針だ。
影響はハンガリーにとどまらない。隣国ルーマニアでもドナウ川の水位低下により原子炉の停止を余儀なくされるなど、中欧各国で電力供給への懸念が広がっている。
欧州では近年、気候変動に伴う猛暑や干ばつによって河川流量が減少し、水力発電や原発の運転に支障を来す事例が増えている。今回の事態は、河川水に依存するエネルギーインフラが異常気象に対して脆弱であることを改めて浮き彫りにした。気候変動への適応策と電力供給体制の強靱化が欧州全体の重要課題となっている。
