◎カルナータカ州ウドゥピ地区にある公立学校は先月、ヒジャブを着用する女子生徒の教室への立ち入りを禁じ、大きな話題となった。
2月10日、インド南部カルナータカ州の裁判所は、イスラム教徒の女性が着用するヒジャブの禁止令を覆す請願の審理が終わるまで、地域の学生に宗教的な服を着ないよう命じた。
同州の一部の学校は今週、ヒジャブを着用した女子生徒の入室を拒み、地域の最大勢力であるヒンドゥー教徒の主張を後押しした。その後、学生らは学校のヒジャブ禁止令に異議を唱える請願を裁判所に提出した。
インド報道信託によると、裁判所は請願の判決が出るまで地域の学生に宗教的な服を着ないよう命じたという。なお、この命令にヒンドゥー教のスカーフやローブが含まれるかどうかは不明。
また裁判所は、州首相の学校閉鎖令を解除するよう命じた。州政府は禁止令に抗議するデモが過熱したこと受け、今週初めに州内の学校を3日間閉鎖するよう指示していた。
カルナータカ州ウドゥピ地区にある公立学校は先月、ヒジャブを着用する女子生徒の教室への立ち入りを禁じ、大きな話題となった。その後、同州の他の学校も同様の禁止令を出し始め、イスラム教徒への嫌がらせに発展した。
インド報道信託は、ヒジャブを着用した女子生徒がヒンドゥー教徒に追い掛け回され、罵声を浴びる様子を報じた。
イスラム教徒は学校の禁止令に憤慨し、抗議デモを開始した。インドの人口に占めるイスラム教徒の割合は約14%で、ヒジャブやブルカ(目以外を覆うヴェール)は決して珍しいものではない。
AP通信によると、ウドゥピ地区で2月7日に行われた抗議デモには数百人の学生と保護者が参加したという。
事件はカルナータカ州から全国に波及し、首都ニューデリーでも500人以上が街頭で抗議したと伝えられている。AP通信によると、ニューデリー警察はデモに参加した一部のイスラム教徒を拘束したという。
ハイデラバードやコルカタなどの主要都市でも学生や活動家がデモ行進を行っている。
イスラム教徒が大多数を占める隣国パキスタンも事件に注目し、憤慨した。同国のクレシ外相は先週、「インドはイスラム教徒の少女から基本的人権のひとつである教育の権利を奪った」とツイートした。「状況は極めて深刻です。ヒジャブの禁止令は抑圧に他なりません」
ノーベル平和賞を受賞したパキスタンの活動家マララ・ユスフザイ氏もツイッターで禁止令を非難した。「なぜヒジャブを禁止するのですか?それはとても恐ろしいことです...」
ヒジャブはイスラム教徒の信仰の一部で、謙虚さや道徳を保つ大切なツールのひとつである。フランス政府は2004年に公立学校でのヒジャブ着用を禁じ、論争を引き起こした。
一部の権利活動家は禁止令がイスラム恐怖症を助長すると懸念している。
保守的なナレンドラ・モディ首相のインド人民党はカルナータカ州議会でも過半数を占めており、イスラム教徒に対する暴力やヘイトスピーチの取り締まりに及び腰である。