◎ジョン・サリバン在ロシア大使は26日にロシア外務省に書簡を届けた。
2022年1月22日/ウクライナ、首都キエフの都市公園、領土防衛軍の訓練(Efrem Lukatsky/AP通信)

1月26日、米国はウクライナ危機を緩和するためにロシアが提案した安全保障条約の草案を拒否し、ウクライナのNATO加盟を除外せず、問題を解決するための取り組みを継続すると誓った。

AP通信によると、ジョン・サリバン在ロシア大使は26日にロシア外務省に書簡を届けたという。NATO(北大西洋条約機構)も書簡でロシアの提案を拒否した。

ロシアは昨年末、米国とNATOに条約の草案を提案し、「ロシアの領土を攻撃できる範囲にNATO軍を配備しないこと」「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」などを書面で保証するよう求めていた。

アントニー・ブリンケン国務長官は記者団に、「ロシアが提案を受け入れた場合、外交の道を進むことになる」と述べた。

またブリンケン国務長官は書簡の内容は予定していた通りで、「変更はない」と強調した。「ウクライナ侵攻に対する米国と欧州のコミットメントに変更はなく、草案に交渉の余地はありません。侵攻はロシアに深刻な結果をもたらすでしょう」

一方、ロシアは26日午後の時点で公式声明を発表していないが、以前の声明で、「米国が要求を拒否した場合、ロシアは報復措置を講じる」と圧力をかけていた。

ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナのNATO加盟を「レッドライン」と呼び、それが現実になれば最悪の事態もあり得ると警告している。

ロシアはウクライナ東部に10万人規模の部隊を集結させているものの、ウクライナへの侵攻を否定している。

ブリンケン国務長官はロシアに提出した書簡について、「米国はウクライナの主権や、ウクライナのNATOに加盟する権利を含むウクライナの核となる原則を書簡の中で明確にした」と述べた。

またブリンケン国務長官は、NATOの同盟国はウクライナの防衛を強化し、ロシアのさらなる侵略に団結して対抗する準備を進めていると強調した。「どうなるかはロシア次第です。私たちは両方(外交か経済制裁)の準備を進めています」

ウクライナ当局によると、米国は今週、数百トンの弾薬、装備、シャベリンミサイル、対装甲兵器を含む軍事援助を3回に分けてウクライナ軍に提供したという。

米国とNATOは当初からロシアの提案には応じられないと述べていたが、ロシア外務省に提出した書簡は公表されていない。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は26日、ロシアに書簡を提出したと明らかにしたううえで、「ロシアの懸念に耳を傾けるつもりではいるが、すべての国は独自の安全保障条約を選択する権利を持っている」と述べ、一方的な要求には応じられないと強調した。

しかし、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は26日に放送された国営メディアのインタビューの中で、NATO加盟国が東欧に部隊を展開し始めていることについて、「交渉の機会は失われた」と西側を強くけん制した。

一方、ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの外交官は、ウクライナと反政府勢力によるドンバス戦争の停戦協定ミンスクⅡ(2015年締結)が維持されていることを再確認した。

フランスの大統領府が発表した声明によると、4カ国はミンスクⅡに基づく停戦を支持し続けることに合意したという。

ロシアのドミトリー・コザク副主席補佐官は26日、パリで開催された4カ国協議は一定の成果を期待できると希望を表明した。4カ国は2週間後にドイツで再度協議する予定。

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

2021年9月13日/ロシア西部の軍事施設、ウラジーミル・プーチン大統領とセルゲイ・ショイグ国防相(右)(Sergei Savostyanov/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)
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