◎ロシアは米国が要求に応じなければ最悪の事態もあり得ると警告している。
1月18日、ロシア政府は不特定多数の部隊を極東からベラルーシに派遣していると明らかにした。
ウクライナ東部に配備されたロシア兵は10万人以上と伝えられており、西側は外交による緊張緩和を目指しているが、ロシアは米国が要求に応じなければ最悪の事態もあり得ると警告している。
ロシアのアレクサンドル・フォミン副国防相は18日、「ベラルーシとの共同訓練には、外部の脅威に対する調整も含まれる」と述べた。
ウクライナ政府はロシアの動きに懸念を表明し、「ロシア軍は同盟国のベラルーシを含む複数の方向からウクライナに攻め込んでくる可能性がある」と警告した。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官も18日の会見でロシア軍の動きを「非常に危険な兆候」と呼び、懸念を強調した。「ロシアはいつでもウクライナを攻撃できる状態にあると認識しています...」
先週行われた米国、ロシア、NATOによる一連の協議はウクライナをめぐる緊張を緩和することはできなかった。アントニー・ブリンケン米国務長官は1月21日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談する予定である。
一方、イギリスはウクライナに対戦車用の兵器を提供し、ロシアをけん制した。ウクライナ国防省は18日、イギリスの兵器は国の防衛能力と欧州との関係を強化したと述べた。
ベラルーシはロシアと緊密な関係を維持しており、西側諸国の頭を悩ませている。
ロシアのフォミン副国防相はベラルーシに送った部隊の規模を明らかにしなかったが、12機の戦闘機を含む複数の防空ユニットを現地に配備すると述べた。
またフォミン副国防相は、「訓練には東部管区の軍が参加し、ロシアの軍事力を西部に集中させる訓練も兼ねている」と述べ、部隊の配備はあくまで訓練の一環であると強調した。「極東を含む各地に配備された軍は有事の際、ロシアの防衛に必要な体制を取れないかもしれません。私たちは有事を想定した訓練を行わなければなりません。関係機関と調整した結果、私たちはベラルーシと共同防衛を構築する必要があるという結論に達しました...」
ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は18日の声明で、「共同作戦はベラルーシの西側国境および、ウクライナと国境を接する南部で行われる」と述べた。
ルカシェンコ大統領は野党勢力に対する暴力的な取り締まりを推進したことで西側に制裁を科されており、昨年、ロシアの核兵器をベラルーシに配備すると西側を脅し、新たな不安を引き起こした。
ドイツは18日にロシアと協議し、ウクライナ近郊に配備した部隊を撤退させるよう呼びかけた。
ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相はラブロフ外相との会談後、記者団に、「ウクライナ近郊に配備された10万人以上の部隊を訓練の一環と考えることは非常に難しい」と述べ、撤退を求めた。
しかし、ラブロフ外相は「ロシアはあくまで自国の領土内で部隊を動かしているだけであり、他国にとやかく言われる筋合いはない」と述べ、要求を却下した。「ロシアは誰も脅迫していません。しかし、西側はロシアを脅迫しています」
一方、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は18日にベルリンでオラフ・ショルツ首相と会談し、「西側の任務は外交で危機を緩和すること」と強調した。「ロシアと協議する準備はできています。NATOは西側とロシアの懸念に対処するNATO・ロシア協議の開催をロシアに求めました...」
またストルテンベルグ事務総長は、「NATOは近い将来、ロシアの要求に対する返事を書面で提出し、さらなる協議を求める」と明らかにした。
ロシアは昨年末、米国とNATOに厳しい安全保障条約草案を提案した。
ロシアは草案の中で、「ロシアの領土を攻撃できる範囲にNATO軍を配備しないこと」「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」などを求めているが、米国はこれらの要求には応じないと述べている。
ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。