◎燃料価格の高騰に抗議するデモは西部マンギスタウ州のジャナオゼンから全国に拡大し、一部のグループは政治的な不満を警察にぶつけた。
1月6日、カザフスタン政府は旧首都アルマトイを含む主要都市で発生した暴動で警察官13人が死亡し、このうち2人は斬首されていたと明らかにした。
国営メディアによると、全国の負傷者は1,000人を超え、これまでに2,000人以上の抗議者が逮捕されたという。治安部隊は暴徒化した市民数十人を射殺したと伝えられているが、詳細は明らかにされていない。
一方、政府は燃料価格に上限を設定し、価格の上昇を抑えると発表した。政府は昨年末頃から調理や暖房などに使用する液化石油ガス(プロパンガス)の価格を引き上げ、その価格は1月1日時点で従来の倍以上に値上がりしていた。ガソリンやディーゼルの価格も上昇している。
政府の報道官によると、上限は180日間維持される予定だという。
燃料価格の高騰に抗議するデモは西部マンギスタウ州のジャナオゼンから全国に拡大し、一部のグループは政治的な不満を警察にぶつけた。
旧ソ連構成国のカザフスタンは独裁国家であり、2019年に政界を引退したヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領は30年にわたって地位を維持した。現職のカシムジョマルト・トカエフ大統領も権威主義者と見なされている。
トカエフ大統領は5日、一連の暴動は外国で訓練された「テロ集団」の仕業であると主張し、ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」に支援を求めた。
AP通信などによると、ロシアは6日未明に空挺部隊をカザフスタンに派遣し、政府の「対テロ作戦」を支援する方法についてCSTOの同盟国と協議したという。トカエフ大統領とロシアは外国で訓練されたテロ集団が暴動に関与したという証拠を明らかにしていない。
ロシアのイタルタス通信が公開した動画にはアルマトイのデモ隊と警察の銃撃戦の様子が映っていたが、死傷者が出たかどうかは不明。イタルタス通信は「主要エリアのデモ隊は一掃されたが、各地で散発的な銃撃戦が続いている」と報じた。
人権団体はロシア軍の介入で取り締まりが激化すると懸念を表明している。
人権NGOアムネスティ・インターナショナルは6日、カザフスタン政府に抑圧的な対応を直ちにやめるよう求めた。
政府は主要都市のインターネット通信と携帯電話サービスを一時的に停止したと伝えられている。アルマトイの空港は混乱の影響で閉鎖された。
ロシアとカザフスタンは緊密な関係を構築しており、ロシアのロケット発射場であるバイコヌール宇宙基地はカザフスタンにある。
ロシア軍の規模と任務の詳細は明らかにされていないが、CSTOによると、ロシアの空挺部隊は支援活動を開始したという。
CSTOの加盟国であるアルメニア、ベラルーシ、キルギスタン、タジキスタンもまもなく支援任務を開始すると伝えられている。
キルギスタン政府のエルボル・スタンバエフ報道官は6日、部隊の派遣には議会の承認が必要であり、デモ隊の取り締まりには恐らく関与しないだろうと述べた。
米国務省のネッド・プライス報道官は6日の定例会見で、アントニー・ブリンケン国務長官とカザフの国防相が電話で問題について協議したと明らかにした。
フランスは暴動を非難し、CSTOを含む全ての関係者に平和的に混乱を終息させるよう求めた。
一方、カザフと国境を接する中国は問題には関与しないと示唆している。中国外務省の報道官は6日、「カザフの問題は内政であり、カザフ当局は問題を適切に解決できると信じている」と述べた。