◎台湾の外交官は台湾大使館の資産を首都マナグアのローマカトリック大司教区に寄付する予定だった
ニカラグアの現地メディアによると、独裁者のダニエル・オルテガ大統領は旧台湾大使館の資産を押収し、中国に譲渡したという。
アメリカ大陸最貧国のニカラグアは12月9日に台湾との外交関係を断ち切り、中国にすり寄ると発表した。
AP通信によると、台湾の外交官は台湾大使館の資産を首都マナグアのローマカトリック大司教区に寄付する予定だったという。
しかし、オルテガ政権は26日遅くの声明で「寄付は無効」と宣言し、旧台湾大使館の資産はすべて中国に譲渡すると述べた。
ニカラグアの司法長官は声明の中で寄付を「姑息な試み」と呼び、「台湾は自分のものではないものを勝手に寄付しようとした」と非難した。
これに対し台湾の外務省は、「オルテガ政権は大使館職員にわずか2週間で退去するよう命じ、標準的な手続きに違反した」と応戦した。
また台湾は、「オルテガ政権はローマカトリック協会に対する合法的な資産の譲渡を恣意的に妨害している」と非難した。
地元のラ・プレンサ紙によると、大司教区の牧師であるカルロス・アビレス氏は、台湾の外交官から旧大使館の資産のひとつである教会を無償で受け取ったという。
中国共産党は台湾を主権国家として認める国に対する圧力を強めており、その数は年々減少している。現時点で台湾と外交関係を結んでいる国は太平洋のツバル、マーシャル諸島、パラオ、ナウル、欧州のバチカン、中南米のグアテマラ、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、アフリカのエスワティニの14カ国。
西側諸国は台湾を民主主義の擁護者と呼び、地位を確立するための取り組みを進めている。一方、オルテガ大統領は米国に「パントマイム選挙」と呼ばれた11月の不正選挙で勝利したと自己宣言した。
オルテガ大統領は1985年から1990年まで政権を握り、2006年の大統領選挙で政界に復帰した。再選後は反米政策を推進し、ロシアと中国に接近したが、経済政策は全く機能せず、アメリカ大陸最貧国の地位を維持している。
オルテガ大統領は今年6月、総選挙に先立ち、主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で刑務所に送り、他の主要な野党指導者20人も合わせて逮捕した。
オルテガ大統領は11月7日の大統領選で票の75%以上を獲得したと主張した。また議会選挙もオルテガ大統領のサンディニスタ戦線(政党)が92議席中90議席を獲得し、圧勝した。しかし、西側の主要国は選挙結果を速やかに却下し、収監された政治犯の即時釈放と選挙のやり直しを求めた。
ジョー・バイデン大統領は11月の声明で、「ニカラグアの選挙は今年5月以降、大統領候補7人を含む40人近くの野党勢力の恣意的な投獄と政党の参加の阻止でひどく汚された」と述べた。
しかし、オルテガ大統領と妻のロサリオ・ムリーリョ副大統領は11月8日に開催された勝利式典で西側の要求を却下し、EUを「ナチス」、EU加盟国の指導者を「ヒトラーの弟」と呼んだ。