◎スリランカはイランから購入した石油の債務を「茶葉」で完済する予定
スリランカの現地メディアによると、同国はイランから購入した石油の債務を「茶葉」で完済する予定だという。
ラメシュ・パティラナ プランテーション産業大臣は2億5,100万ドル(約290億円)の債務の返済方法について、毎月500万ドル(約5.8億円)相当の茶葉をイランに送り完済を目指したいと述べた。
スリランカは国債の処理に苦しんでおり、来年は約45億ドルの債務を返済しなければならない予定だが、中央銀行の最新のデータによると、外貨準備高は16億ドルまで減少したという。
スリランカは今年6月、「100%有機産業プログラム」を開始し、農薬の使用を原則禁止した。その結果、農家の負担は激増し、品種によっては生産量が最大50%減少し、深刻な食糧不足を引きおこした。
協会と専門家によると、有機産業プログラムの影響で作物の生産にかかる費用は約10倍に跳ね上がったという。農作物の価格高騰はインフレを後押しし、コロナの影響で苦しい状況にある飲食業界を痛めつけ、国の収入はさらに減少した。
政府はプログラムの一部を停止したが、尿素肥料の輸入は今も禁止されている。
イランの原油、天然ガス、石油化学製品に対する投資は米国のドナルド・トランプ前大統領が2018年に科した経済制裁により禁止されているが、パティラナ産業大臣はロイター通信に、「茶葉は人道上の理由で食品に分類されており、ブラックリスト入りしているイランの銀行は取引に関与しないため、米国と国連の制裁には違反しない」と強調した。
パティラナ産業大臣は、「イランへの支払いはこの4年間滞っており、債務を返済するために毎月500万ドル相当の茶葉を送ることを望んでいる」と語った。
プランテーション省によると、イランは「セイロンティーを販売することで利益を得られる」という。
しかし、スリランカの茶葉生産やセイロンティー販売を統括している協会はこの取引を「応急処置」と呼び、懸念を表明した。「私たちはセイロンティーを自由市場で販売し、スリランカのお茶の魅力を世界に発信したいと思っています。農家や輸出業者はこの取引で本当の利益は得られないでしょう」
中央銀行の総裁は今月、「スリランカは2022年に期限を迎える債務の返済をスムーズに行えると確信している」と述べた。
プランテーション省によると、スリランカは年間約34万トンの茶葉を生産し、2020年の輸出量は約27万トンで12億4,000万ドルの収益をあげたという。
政府はおこれらの措置のいくつかをキャンセルしたが、尿素の輸入は依然として禁止されている