◎中国共産党は民主国家とは全く異なる手法で「恒大ショック」を防ぐと信じられている。
今年初めに中国の不動産開発大手「恒大集団」の債務危機問題が表面化したとき、一部の投資家は2008年のリーマン・ショックと同じような世界金融危機に発展する可能性があると懸念を表明した。
米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズは2000年代後半の住宅バブル崩壊の影響で空中分解し、2008年9月に倒産した。
しかし、中国共産党は民主国家とは全く異なる手法で恒大ショックを防ぐと信じられている。
共産党指導部は恒大集団に3,000億ドル(約33兆円)以上の債務を計画的に処理するよう命じているが、同社は債券利息の支払いにひどく苦労している。一部の経済アナリストは今年初めに、同社が進行中の問題を適切に処理できなかった場合、共産党の介入もあり得ると指摘していた。
恒大集団は今年、一部の海外債券をデフォルト(踏み倒し)している。
ロイター通信などによると、共産党指導部は同社の創設者の個人資産の売却を含む債務再編プロセスを開始した可能性が高いという。
シルクロード・リサーチ社の創設者であるヴィネシュ・モトワニ氏は、「中国の業界関係者はプロセスが始まったことに驚いていない」と述べた。
モトワニ氏はレポートの中で、「恒大集団は中国国内で最悪の犯罪者と見なされており、プロセスは当然という見方がほとんど」と述べた。「中国の中央銀行である中国人民銀行は不動産開発業者に債務のしきい値を守るよう何年も警告していましたが、恒大集団を含む大手の借金は膨らみ続けました...」
恒大集団は未完成の開発プロジェクトを1,300件以上抱えており、100万人以上が新居への引っ越しを待っている。
一方、習近平 国家主席は国内の富を全国に広げ、富裕層と貧困層のギャップを埋める「先富論」を推進しているため、恒大集団に投資した銀行や投資家を犠牲にしてでも「住宅購入者を支援する可能性が高い」と一部の専門家は予想している。
共産党は米国政府とは異なり、国営銀行を通じて国の不動産市場を管理し、債務不履行に陥る可能性が高い企業をすべて把握している。
フランスの投資銀行ナティクシスのアジア太平洋地域のチーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレーロ氏は、「共産党は外科医のようなものだ」と述べた。「彼らは腫瘍を取り除き、国民を救います」
共産党は恒大集団の住宅開発プロジェクトを維持し、新居の完成を待っている100万人以上の中産階級を救い、同時に中国の不動産市場の信頼を損なわないよう、慎重に問題に介入すると期待されている。
モトワニ氏によると、「共産党は不動産市場への影響をコントロールしているように見える」という。しかし、恒大集団の市場価値は下がり続けており、その結果、住宅購入を検討している市民は二の足を踏み、市場の減速につながると懸念されている。
一部の専門家とアナリストは、共産党は市場に打撃を与えない方法(リストラ、資産の売却など)を採用し、慎重に恒大ショックを避けようとしているため、再編には数カ月から数年かかると指摘している。
ある専門家は、「恒大集団は分社化される可能性が高い」と予想した。
一部の批評家は共産党にさらなる行動を呼びかけている。ある批評家はソーシャルメディアに、「共産党は債券をすべてデフォルトし、債務の返済を求める投資家をむち打ち、市場から逃げる投資家の退路を塞ぐだろう」と投稿した。「信用ゼロの共産党市場に投資する人々は今すぐ撤退しなさい。恒大ショックは共産党ショックにアップグレードされるでしょう」