◎現地メディアによると、警察当局は一部の抗議グループに催涙ガス弾を撃ち込んだという。ケガ人の有無は確認されていない。
12月19日、スーダンの首都ハルツームなどで11月に発足した軍民合同政府に反対する大規模な抗議デモが開催され、数万人が参加した。
軍は10月25日にアブダッラー・ハムドゥーク首相と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散したうえで、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。
軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導くソブリン評議会を創設したが、今年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。
ハムドゥーク首相とクーデターの首謀者であるアブデル・ファッタ・バーハン将軍は先月、権力共有協定に署名し新たな軍民合同政府を発足させたが、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主勢力は軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、抗議デモを続けていた。
ハルツームの街頭に集まった数万の抗議者はスーダンの国旗を振り回し、10月25日以降の取り締まりで死亡した抗議者の写真を掲げた。
警察当局はデモに先立ち、政府庁舎周辺の警備を強化し、軍の施設を閉鎖した。また現地メディアによると、当局はナイル川にかかる複数の橋も封鎖したという。
デモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「バーハン(将軍)は去らねばならない」と述べた。「政府はクーデターを主導し、その後の取り締まりで民間人を殺したバーハンを追放し、裁判にかけなさい」
人権団体などによると、10月25日以降の抗議デモで当局に殺害された抗議者は少なくとも45人にのぼり、数百人が負傷したという。責任を問われた者はいない。
現地メディアによると、当局は一部の抗議グループに催涙ガス弾を撃ち込んだという。ケガ人の有無は確認されていない。
ハムドゥーク首相は18日のテレビ演説で「流血を防ぐために権力共有協定に署名した」と述べ、軍と民をひとつにまとめなければ国の経済と安全保障の問題は悪化するだろうと警告した。「私たちは2年前の革命で成し遂げた民主化への道を維持しなければなりません...」
ハムドゥーク首相は権力共有協定を「最善の道」と呼び、民主主義を確立するために前進し続けると約束した。また、民主主義への移行を完了させるために、反政府勢力との和平に向けた取り組みを推進するよう議会に呼びかけた。
軍は2023年7月に予定されている選挙で文民統制を達成できると主張しているが、バーハン将軍と軍高官が政治から離れるという保証はない。
抗議者たちは権力共有協定を却下し、バーハン将軍を殺人罪で裁くよう訴えた。