◎イリノイ州、テネシー州、ミズーリ州、アーカンソー州、ミシシッピ州、そして最も深刻な被害を受けたケンタッキー州で地表に到達した竜巻は36件確認された。
2021年12月12日/ケンタッキー州メイフィールド、倒壊したろうそく工場と周辺地域(Gerald Herbert/AP通信)

12月12日、中西部と南部で発生した竜巻災害の犠牲者は90人を超えた。当局は懸命な救助活動を続けているが、被害の全容は分かっていない。

竜巻は10日夜から11日未明にかけて発生した。

国立気象局のストーム予測センターによると、イリノイ州、テネシー州、ミズーリ州、アーカンソー州、ミシシッピ州、そして最も深刻な被害を受けたケンタッキー州で地表に到達した竜巻は36件確認されたという。

ジョー・バイデン大統領はケンタッキー州知事の要請に基づき、州を対象とする非常事態を宣言した。

同州で最も深刻な被害を受けたメイフィールドのろうそく工場は完全に崩壊し、これまでに複数の遺体が回収された。同州の犠牲者は100人を超えると予想されている。

当局によると、ろうそく工場内にいた110人のうち40人は救助されたという。工場ではクリスマス用のキャンドル作りが最盛期を迎えていた。

中西部と南部の竜巻は、ロッキー山脈から入ってくる寒気と南部の暖気が衝突することで積乱雲を伴う上昇気流を引き起こし発生する。なお、この地域の竜巻の最盛期は春先であり、一部の専門家はこの時期の発生を予測することは難しかったと指摘している。

ケンタッキー州のアンディ・ベシア州知事は12日、CNNニュースのインタビューの中で、「ろうそく工場は重さ数トンの鉄骨の山とおびただしい量の残材に覆い尽くされている」と語った。「工場は巨大な鉄骨の山、車、残材に覆い尽くされています。また当局は、腐食性化学物質が検出される可能性があると指摘しました。生存者を見つけることができたら奇跡です...」

工場の倒壊に巻き込まれたキアンナ・パーソンズ・ペレス氏はその様子をフェイスブックでライブ配信し、数人の同僚と共に助けを求め、その後救助された。

ワシントン・ポスト紙の取材に応じた州の住民アイビー・ウィリアムズ氏は、「ろうそく工場で夜勤していた妻と連絡が取れない」と語った。

メイフィールドの住民男性はABCニュースの取材に対し、「サイレンが聞こえ、爆弾が落ち、気が付くと家がなくなっていた」と当時の状況を説明した。男性と家族は自宅の地下に退避し難を逃れた。

国立気象局などによると、ケンタッキー州の竜巻は320km以上の範囲に影響を与えた可能性があるという。

イリノイ州エドワーズビルにあるアマゾン社の工場では6人の死亡が確認された。テネシー州では4人、アーカンソー州は2人、ミズーリ州でも2人が死亡した。

メイフィールドの住民はソーシャルメディアで町の惨状を伝えている。あるユーザーは、「町はほんの数時間でゴーストタウンになった」と投稿した。

バイデン大統領は州の緊急事態宣言に署名し、犠牲者とその家族に哀悼の意を表した。また、今年米国内で発生した異常気象(熱波、大雨、大型ハリケーン、大雪など)についても言及し、「気候変動がそれらの原因であることは明らかであり、地球の温暖化はそれらをより強力にする」と述べた。

ケンタッキー州選出のミッチ・マコーネル上院少数党首(共和党)も犠牲者に哀悼の意を表し、地域の再建に必要な連邦資金を提供するために働くと誓った。

2021年12月12日/ケンタッキー州メイフィールド(Gerald Herbert/AP通信)
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