◎ホワイトハウスは6日の声明で北京2022冬季五輪の外交ボイコットを発表した。
12月6日、米民主党のナンシー・ペロシ下院議長は2カ月後に開幕する北京2022冬季五輪を批判し、「大量虐殺と人権侵害を犯している国での五輪開催を静観すべきではない」と述べた。
ホワイトハウスは6日の声明で北京2022の外交ボイコットを発表した。ジェン・サキ報道官は会見の中で、「政府の代表団は派遣されない」と述べたが、政府はチームUSAを支援すると約束した。
ジョー・バイデン大統領は先月、外交ボイコットを検討していると示唆していた。オーストラリアも同様の措置を検討している。
米国はソビエトのアフガン侵攻(1979年)を受け、翌年のモスクワ五輪をボイコットしたが、今回の措置はそれをはるかに下回っている。共産党の大量虐殺に直面したウイグル族の支援団体は北京2022を「ジェノサイドオリンピック」と呼び、各国に完全なボイコットを呼びかけている。
ペロシ下院議長は6日の声明でホワイトハウスの決定を称賛し、「米国はアスリートを称賛するが、大量虐殺を犯している国での五輪開催を何事もないように静観することはできない」と述べた。
上院外交委員会のロバート・メネンデス委員長も決定を擁護し、「外交ボイコットは中国の虐待に直面した人々の人権に対する米国の揺るぎないコミットメントを示す重要なステップ」と称賛した。
しかし、アラバマ州選出の共和党員トム・コットン上院議員は、外交ボイコットではなく完全ボイコットと米スポンサーの撤退を要求した。「米国はジェノサイドゲームから完全撤退しなさい。米企業は共産党への資金提供をやめなさい。チームUSAの命を危険にさらさないでください!」
一方、共産党の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は6日の定例会見で、「政治は五輪に関与すべきではない」と述べ、「米国が独自の道を進む場合、中国は確固たる対抗措置を取る」と警告した。
趙立堅 報道官は記者団に、「外交ボイコットは完全な政治的挑発になるだろう」と述べたが、どのような報復措置を取るかは明らかにしなかった。
国際オリンピック委員会(IOC)は6日の声明で米国の決定を「完全に尊重する」と述べ、外交ボイコットは政府が決めることと強調した。
IOCは年間収入の73%を放映権、18%をスポンサーから得ており、2014年に米NBCと五輪放映権を2032年まで延長する契約を結んだ。契約料は76.5億ドル(約7,900億円)。NBCの契約料はIOCの年間収入の約40%を占めている。
IOCは声明の中で、「外交ボイコットは政治が五輪アスリートに影響を与えないことを保証しており、IOCは決定を歓迎する」と述べた。
五輪開催国への代表団の派遣は慣例であり、ジョージ・W・ブッシュ大統領は北京2008夏季五輪の開会式に出席した。米国は東京2020にファーストレディ、パラ五輪にカマラ・ハリス副大統領の夫であるダグ・エムホフ氏を派遣した。
共産党の最高幹部に性的暴行を受け、試合後にセックスを強要されたと告発した中国の彭帥(ポン・シュアイ)選手は、公の場で話すことを禁じられている。
IOCのトーマス・バッハ会長は先月、彭帥 選手とオンラインで対話した写真を公開し、「彼女はうまくやっており、元気だ」と述べ、非難の嵐に直面した。