◎IOCとトーマス・バッハ会長は行方不明になっている中国のテニススター、彭帥(ポン・シュアイ)選手とオンラインで話した。
11月21日、北京2022冬季五輪を主催する国際オリンピック委員会(IOC)は、行方不明になっている中国のテニススター、彭帥(ポン・シュアイ)選手とオンラインで話し、無事を確認したと明らかにした。
IOCは声明の中で、「トーマス・バッハ会長と彭帥 選手はオンラインで約30分話した」述べ、写真を公開した。対話にはIOCアスリート委員会のエンマ・テルホ委員長と委員の李 玲蔚(リ・リンウェイ)氏も参加した。
中国の彭帥 選手は今月2日、共産党の政治局常任委員会のメンバー兼元副首相である張高麗(ちょうこうれい)氏から7年前に性的暴行を受け、3年前にはテニスの試合後に繰り返し関係を強要されたと告白し、行方不明になった。
彭帥 選手は2013年のウィンブルドンと2014年の全仏女子ダブルスで優勝し、WTAツアーのシングルスで2勝、ダブルスで22勝を挙げている。
失踪事件は広範な懸念を引き起こし、米国、国連、世界のスポーツ選手が彭帥 選手と家族の安全を保障し、その証拠を提供するよう中国共産党に求めた。
声明によると、彭帥 選手はIOCの配慮に感謝したという。
IOCは、「彭帥 選手は北京の自宅にいると説明したうえで、プライバシーを尊重してほしいと私たちにお願いしました」と述べた。「彼女は家族や友人と過ごしたいと言いました...」
彭帥 選手は2008年の北京五輪から3大会連続でオリンピックに出場したが、IOCは失踪事件に関する声明をなかなか出さず、一部の専門家から批判されていた。北京2022は来年2月4日に開幕する予定。
IOCによると、バッハ会長は来年1月に予定されている北京の夕食会に彭帥 選手を招待したという。IOCは声明の中で、「彭帥 選手はバッハ会長の提案を喜んで受け入れた」と述べた。
テルホ会長も声明の中で、「彼女の無事を確認でき、安心している」と述べた。「彼女はリラックスしているように見えました。彼女は自分の都合の良いときにIOCと連絡を取ることができます。彼女はIOCの配慮に感謝していました...」
IOCは失踪事件を「静かな外交」で対処するよう求め、20日の声明で「中国の国内五輪委員会との開かれた対話を継続する」と述べていた。
IOCは年間収入の約73%を放映権、18%をスポンサーから得ている。
IOCと米NBCは2014年に五輪の放映権を2032年まで延長する契約を結んだ。契約料は76.5億ドル(約7,900億円)。NBCの契約料はIOCの年間収入の約40%を占めている。
中国で活動するアナリストや国営メディアは彭帥 選手の写真と動画を公開し、同氏は無事であることを世界にアピールした。しかし、女子テニス協会(WTA)は彭帥 選手の安全を直接確認する必要があると述べ、さらなる証拠の提供を求めていた。
国営の環球時報は20日、「彭帥 選手は自宅にとどまっており、まもなく公の場に姿を現すと」とツイートしていた。中国の市民はツイッターを閲覧できない。
一部のソーシャルメディアユーザーはIOCの声明に懸念を表明した。あるユーザーは、「彭帥 選手は家族を人質に取られている可能性がある」とツイートした。別のユーザーは、「彭帥 選手と家族を保護したうえで、公開記者会見を開くべき」と提案した。
米国、カナダ、イギリスは北京2022の外交ボイコットを検討している。一部の米共和党員は外交ボイコットではなく完全撤退を要求した。
ウイグル族、チベット族、その他の少数民族、そして香港の国民を支援する主要な人権団体はIOC、スポンサー、各国のスポーツ連盟に大会から完全撤退するよう圧力をかけており、北京2022を「ジェノサイド(大量虐殺)オリンピック」と呼んでいる。