◎ドゥテルテ大統領は先月、副大統領選に立候補する計画を見直し、任期満了をもって政界を引退すると発表した。
2021年11月15日/フィリピン、首都マニラの選挙管理事務所、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の上院選立候補届(Getty Images/AFP通信)

11月15日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は先月の政界引退宣言を撤回し、首都マニラの選挙管理委員会に上院選の立候補届を提出した。

来年5月に予定されている大統領選、副大統領選、議会選の立候補締め切りは11月15日だった。

ドゥテルテ大統領は先月、副大統領選に立候補する計画を見直し、任期満了をもって政界を引退すると発表した。主要や野党勢力はドゥテルテ大統領の副大統領選ノミネートに強い懸念を示し、人権団体を激怒させたが、政界引退宣言で混乱はひとまず終息した。

フィリピンの主要な人権団体である左翼同盟のクリスティーナ・パラベイ氏は15日、ドゥテルテ大統領の上院選立候補を却下した。「ドゥテルテは国際刑事裁判所(ICC)の調査を妨害するつもりです。上院ではICCに出頭しなさい...」

ハリウッドスターのクリント・イーストウッド氏が演じた法律をほとんど考慮しない映画キャラクター「ダーティハリー」を模して「デュテルテハリー」と呼ばれているドゥテルテ大統領の麻薬組織に対する取り締まりは数千件の超法規的殺人につながり、軽微な犯罪を含む薬物関連の被疑者6,000人以上が死亡し、西側諸国と人権団体の強い懸念を引き起こした。

ICCはこれらの違法な取り締まりの調査を開始したが、ドゥテルテ大統領はICC調査官の入国を許可しないと誓っており、調査は難航している。

一方、ドゥテルテ大統領の娘であるサラ・ジマーマン氏は13日に副大統領選の立候補届を提出した。

ドゥテルテ大統領は先週末、地元メディアのインタビューの中で副大統領選に立候補すると述べていたが、一部の専門家は憲法に抵触する可能性があると警告していた。

フィリピンの大統領の任期は6年で、再選を認められていない。ドゥテルテ大統領が副大統領選に勝利し、その後、次期大統領が任期中に死亡もしくは何かしらの理由で無能力になった場合は、再びドゥテルテ氏が指揮を執ることになる。

主要メディアによると、ドゥテルテ大統領は娘の副大統領選立候補を受け、計画を見直したという。ドゥテルテ大統領は以前、娘に大統領選に立候補するよう促していた。

ジマーマン氏はグロリア・アロヨ前大統領率いるラカス党から出馬する方針だが、ランニングメイトのフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏は別政党から大統領選に立候補する予定である。

元独裁者フェルディナンド・マルコスのひとり息子であるマルコス・ジュニア氏(通称ボンボン・マルコス)は14日のインタビューでジマーマン氏に副大統領選に立候補するよう促したと述べたが、最新の世論調査によると、ジマーマン氏の支持率はボンボンを大きく上回っていた。

ドゥテルテ大統領はマルコス家の同盟国であり、2016年にマルコスを英雄墓地に埋葬することを許可した。

マルコスは1965年から20年以上フィリピンを統治し、敵対勢力に対する超法規的殺人(即決処刑)と拷問を推進したが、1986年2月に発生した100万人規模の抗議デモを受け、米国(ハワイ)に亡命した。

ボンボンは父親に対する嫌疑を「嘘」と呼び、大統領に就任次第、父親の汚名をそそぐと誓っている。

フィリピンの英雄マニー・パッキャオ上院議員は与党PDP-ラバンから大統領選に立候補した。

2018年4月2日/フィリピン、首都マニラの最高裁判所前、元上院議員のフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏(Aaron Favila/AP通信)
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