◎フィリピンの大統領と副大統領は別々に選出される。大統領の任期は6年で再選は認められていない。
2019年9月3日/フィリピン、首都マニラの政府庁舎近く、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領と娘のサラ・ジマーマン氏(Getty Images/AFP通信)

フィリピンの現地メディアによると、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の長女であるサラ・ジマーマン氏が来年の大統領に立候補したフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏のランニングメイトに選ばれたという。

ジマーマン氏はダバオ市の市長を務めているが、今週、市長選から撤退すると明らかにしていた。

ジマーマン氏はドゥテルテ大統領の後継者として広く支持されており、世論調査でも他の候補をリードしている。現地メディアによると、ジマーマン氏はグロリア・アロヨ前大統領の率いるラカス党に加わり、副大統領選の立候補届を提出したという。

フィリピンの大統領と副大統領は別々に選出される。大統領の任期は6年で再選は認められていない。

世界で最も有名なボクサーのひとりであるマニー・パッキャオ上院議員は与党PDP-ラバンからの出馬を表明している。

フィリピンの元独裁者フェルディナンド・マルコスのひとり息子であるマルコス・ジュニア氏(通称ボンボン・マルコス)は、ジマーマン氏とタッグを組むことでドゥテルテ大統領の支持層を取り込む狙いがあると見られる。

一方、現職のドゥテルテ大統領は麻薬戦争を終結させるために犯罪者を打ち負かすと誓い、2016年の大統領選に勝利した。

しかし、ドゥテルテ大統領の麻薬組織に対する取り締まりは数千件の超法規的殺人につながり、軽微な犯罪を含む薬物関連の被疑者6,000人以上が死亡し、西側諸国と人権団体の強い懸念を引き起こした。

国際刑事裁判所(ICC)はこれらの違法な取り締まりの調査を開始したが、ドゥテルテ大統領はICC調査官の入国を許可しないと誓っており、調査は難航している。

ドゥテルテ大統領は先月、副大統領選への立候補を取り消し政界を引退すると発表したが、地元メディアによると、ドゥテルテ大統領の報道官は引退宣言を撤回し、副大統領選への立候補届を提出する可能性があると明らかにしたという。

マーティン・アンダナル報道官は13日、地元メディアのインタビューの中で、「ドゥテルテ大統領は15日に立候補届を提出する予定だが、明日計画が見直される可能性もあるため、ハッキリしたことは言えない」と述べた。大統領選と副大統領選の立候補締め切りは11月15日。

フィリピンの著名なリベラル組織であるバヤンのレナート・レイエス氏は、マルコス・ジュニア氏とジマーマン氏のタッグに深刻な懸念を表明した。「この二人はフィリピンの民主主義を脅かす最大の脅威です...」

レイエス氏はAP通信の取材に対し、「このタッグはごく限られた一部の家族にのみ利益をもたらす」と述べた。「マルコス・ジュニアは独裁者の汚名をそそぎ、ジマーマンは父親を保護するために動くでしょう...」

フェルディナンド・マルコスは1965年から20年以上フィリピンを統治し、全土を戒厳令下に置くことで独裁体制を確立し、敵対勢力に対する超法規的殺人(即決処刑)と拷問を推進したが、1986年2月に発生した100万人規模の抗議デモ後、米国(ハワイ)に亡命した。

マルコス・ジュニア氏は1983年から1986年まで故郷の州知事を務めていたが、家族と一緒にハワイに亡命し、父親の死後フィリピンに帰国した。

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