◎バイデン大統領は6日の記者会見で、「とてもうれしい」と語った。
2021年11月6日/ワシントンD.C.議会議事堂、下院民主党の議員団(J. Scott Applewhite/AP通信)

11月6日、米下院は約1兆ドル(約110兆円)のインフラ法案を賛成多数で可決し、ジョー・バイデン大統領の机に送った。

上院は極めて稀な超党派交渉の末、8月にインフラ法案を賛成69ー反対31で可決した。

しかし、一部のリベラルな下院民主党員は、同じく8月に下院を通過した気候変動対策や社会のセーフティネット拡充を含む「通称ヒューマンインフラ法案」の上院通過を共和党が保証しない限り、下院はインフラ法案の採決を行わないと脅迫した。

チームリベラルの脅迫は上下両院で大混乱を引き起こしたが、約3カ月に及ぶ交渉の末、インフラ法案はようやく日の目を見た。

下院は5日遅くに賛成228ー反対206で法案を可決した。共和党員13人が賛成に票を投じている。

しかし、チームリベラルはヒューマンインフラ法案の勝利が確定するまで採決は見送るべきと最後まで抵抗した。

NY州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員とミネソタのイルハン・オマル議員を含む6人の民主党員が反対票を投じた。6人の女性議員で構成される通称スクワッドは、左派と有色人種から圧倒的な支持を集める進歩的なグループである。

バイデン大統領は6日の記者会見で、「とてもうれしい」と語った。「ようやく待ちに待ったインフラストラクチャー週間が始まります!」

一方、下院民主党が提案した3.5兆ドル(約390兆円)のヒューマンインフラ法案は1.75兆ドル(約195兆円)まで圧縮され、上院で採決の時を待っている。

2020年11月/左から民主党下院議員のアヤンナ・プレスリー氏、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏、イルハン・オマル氏、ラシダ・タリーブ氏(ロイター通信)

主要メディアによると、バイデン大統領は来週インフラ法案の調印式を開く予定だという。

バイデン大統領はインフラ法案を大陸横断鉄道と州間高速道路の建設に例え、「歴史的な偉業」と呼んだ。

ホワイトハウスによると、この投資により、今後10年の間に毎年約200万人分の新たな雇用が生まれるという。

<インフラ法案の概要>
・道路と橋への投資:1,100億ドル(約12兆円)
全国の主要幹線道路約28万kmと45,000の橋の一部を改修する。新設改良含む。

・公共交通機関への投資:390億ドル(約4.4兆円)
全国の公共交通システムを拡充し、バリアフリー改修を進め、州および地方政府にゼロ・エミッションのバスを購入するための資金を提供する。

旅客および貨物鉄道への投資:660億ドル(約7.5兆円)
主要な旅客及び貨物鉄道の改修に投資。9年前のハリケーンサンディで影響を受けた貨物ルートを優先。

・電気自動車用充電ステーションへの投資:75億ドル(約8,500億円)

・インターネット通信網への投資:650億ドル(約7.4兆円)
農村部、低所得者層の多い地域、先住民族コミュニティを優先。

・電力網への投資:650億ドル(約7.4兆円)
送電鉄塔、電柱、地中ケーブル、炭素回収技術などに投資。

・空港への投資:約250億ドル(約2.8兆円)
老朽化した管制塔、滑走路、ターミナルビルなどの改修に投資。

・上下水道インフラへの投資:550億ドル(約6.2兆円)

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