◎米ドナルド・トランプ前大統領は2018年にイラン核合意から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科した。
11月3日、EUはイラン核合意(包括的共同行動計画/JCPOA)の復活に向けたイランとの協議を11月29日にウィーンで再開すると発表した。
EUは声明の中で、11月29日の協議にはイラン、中国、フランス、ロシア、ドイツ、イギリスの高官が出席すると述べた。
米ドナルド・トランプ前大統領は2018年に合意から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科した。
イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。しかし、イランは濃縮度を大きく引き上げ、高濃縮ウランの生産を推し進めている。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用
合意の再開に向けた協議は6月のイラン大統領選以来、保留されていた。
イランの首席交渉官であるアリ・バケリ・カニ氏は3日、「イランに対する非人道的な制裁の解除を目的とするウィーン交渉への出席に合意した」とツイートした。
一方、米国務省のネッド・プライス報道官は3日の記者会見で、「イランの代表が真剣であれば、すぐ合意に達することができる」と述べ、高濃縮ウランの生産と核開発をやめると誓えば経済制裁解除に向けた検討を開始すると示唆した。
またプライス報道官は、米国は核合意の再開に向けた交渉を望んでいたと強調した。
しかし、イランのエブラヒーム・ライシ大統領は交渉に厳しい姿勢で臨むと予想されている。ライシ大統領は6月の就任演説で米国の制裁を解除するためにあらゆることをすると誓った。
西側諸国は交渉に復帰するようイランに呼びかける一方、テヘランの核施設におけるウラン濃縮の加速に深刻な懸念を表明していた。
イランは2015年に締結された核合意に基づき、ウラン濃縮の制限と国際原子力機関(IAEA)の定期検査を受けることに合意し、西側諸国はその見返りに制裁を解除した。
しかし、トランプ前大統領は「イランは地域紛争への関与と弾道ミサイル開発を推進している」と指摘し、合意から撤退したうえで制裁を再導入した。
イランは進行中のイエメン内戦でサウジアラビア連合軍と戦っているイスラム原理主義組織フーシや、レバノンのヒズボラなどに兵器を提供している。
制裁発動後、イランは外国に保有していた資産数十億ドルを凍結され、外貨の稼ぎ頭である原油の輸出を制限された。米国はイランの原油、天然ガス、石油化学製品に対する投資を禁止している。