◎ベラルーシ国家保安委員会(KGB)と野党支持者の間で銃撃戦が発生し、2人が死亡、少なくとも100人が拘束された。
2021年9月6日/ベラルーシ、首都ミンスクの議会議事堂、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領(ニコライ・ペトロフ/BELTA/Pool/AP通信)

10月1日、ベラルーシの著名な人権団体であるビアスナ人権センターは声明で、ベラルーシ国家保安委員会(KGB)と野党支持者の間で銃撃戦が発生し、2人が死亡、少なくとも100人が拘束されたと発表した。

ベラルーシ当局は9月28日遅くに事件が発生したと報告している。当局者によると、KGBは危険な犯罪者のテロ活動を取り締まるために首都ミンスクのアパートを襲撃し、銃撃戦に発展したという。銃撃戦でKGBの所員1人とテロリストと名指しされた容疑者1人が死亡した。

一方、ビアスナ人権センターによると、銃撃事件に関連する一斉取り締まりは首都ミンスクと他の7都市で行われ、拘束された人々はソーシャルメディアで政府高官を侮辱した罪に問われる可能性が高いという。センターの当局者は、「拘束された人々は社会的敵意を扇動した罪で起訴され、12年以下の懲役刑を科される可能性がある」と述べた。

首都ミンスクの銃撃戦で射殺されたアンドレイ・ゼルツァー氏は野党支持者だったと伝えられている。

ゼルツァー氏とKGB所員の死亡した経緯は明らかにされていないが、ベラルーシ当局は襲撃時の様子を記録したとされる映像を公開した。

KGBはゼルツァー氏をテロリストと呼んだが、同じく野党支持者でゼルツァー氏の友人だというアリア・イリュケビッチ氏はこの主張を却下し、「彼がテロリストなら、昨年の大統領選挙後の平和的な抗議デモに参加した数十万人は全員テロリストだ」と非難した。

AP通信によると、ゼルツァー氏はアメリカのIT企業EPAMシステムズの職員で、アメリカの市民権を持っていたという。EPAMシステムズの関係者は以前、ベラルーシ政府に平和的な抗議デモに資金を提供したと名指しで非難されていた。

一方、ベラルーシの州当局が公開した襲撃時の映像は明らかに編集されており、KGBの所員がアパートに突入する様子が記録されていた。

しかし、ゼルツァー氏がテロリストであるという証拠は示されておらず、ゼルツァー氏が発砲する様子も映っていなかった。

ベラルーシの野党活動家であるパベル・ラトゥシコ氏はAP通信の取材に対し、「ルカシェンコ政権に抗議した者はテロリストに仕立て上げられ、公正な調査は一切保証されず、最悪射殺される」と語った。「私は穏やかで親切で思いやりのあるアンドレイ・ゼルツァーがテロリストではないことを知っています。ルカシェンコに反対する者はテロリストと呼ばれ、KGBに殺されるでしょう」

アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は1日の議会演説で死亡したKGB所員に哀悼の意を表し、「事件に関与した者を決して許さない」と述べた。

地元メディアによると、死亡したKGB所員はドミトリー・フェドシウクと呼ばれる男性で、1日に首都ミンスクで葬儀が行われたという。ルカシェンコ大統領は、「フェドシウクはテロリストに心臓を撃ち抜かれた」と述べた。

ルカシェンコ政権は昨年8月の大統領選挙後に発生した数十万人規模の平和的な抗議デモを力でねじ伏せ、35,000人以上を拘束し、数千人を残酷に殴打した。

ビアスナ人権センターによると、昨年8月以来、945人が扇動罪やデモに関与した罪などで有罪判決を受け、少なくとも数百人の裁判が進行中だという。

野党調整評議会の主要メンバーであるマリア・コレスニコワ氏は先月、権力を掌握するために共謀し、過激派組織を創設し、国家の安全を損なった罪で懲役11年の実刑判決を言い渡された。

2021年9月6日/ベラルーシ、首都ミンスクの裁判所、野党活動家のマリア・コレスニコワ氏(右)とマキシム・ザナック氏(Ramil Nasibulin/BelTA/Pool/AP通信)
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