◎イングランドのガソリン危機はコロナウイルスの感染拡大によるトラック運転手のトレーニング不足と教育の中断、運転手の高齢化、昨年のEU離脱に伴う外国人労働者の流出などの要因が組み合わさり表面化した。
2021年9月29日/イギリス、ロンドンのガソリンスタンド(Getty Images/AFP通信)

イギリスの現地メディアによると、政府は国内で進行中のガソリン不足を解消するために軍の兵士を動員してタンクローリー輸送を行う予定だという。

ビジネス・エネルギー・クリーン成長担当大臣のクワシ・クワーテン氏は29日の記者会見で、「数日中に兵士が配備される」と述べた。「兵士たちはタンクローリーを運転してガソリンスタンドにガソリンを届けることになると思います」

燃料業界は29日、「トラック運転手不足が引き起こした危機は緩和され始めている」と述べ、軍の関与で危機はさらに緩和されるという楽観的な見方を示した。

BBCニュースによると、イングランドの多くのガソリンスタンドが過去5日間のガソリン供給不足の影響で閉鎖を余儀なくされたという。状況は一部の運転手の買い占めでさらに悪化したと伝えられている。

ガソリンスタンド周辺の道路では大渋滞が発生し、多くの運転手が数時間待たされた挙句、燃料補給できない事態に陥り、困惑した。

イングランドのガソリン小売業者協会のゴードン・バルマー事務局長は29日の声明で、「協会に加入しているガソリンスタンドの27%が閉鎖された」と明らかにした。国内のスタンドの大半は同協会に加入している。

一方、石油大手のシェルUK、BP、その他の会社は共同声明で、「今後数日以内に状況は改善すると確信している」と述べた。

シェルとBPは声明の中で軍の応援を歓迎し、ガソリンスタンドへの定期的な供給を維持するために政府と緊密に協力していると述べた。また2社は、「危機はトラック運転手不足が引き起こしたものであり、製油所と油槽所には十分すぎるほどガソリンがある」と強調した。

今回のガソリン危機はコロナウイルスの感染拡大による運転手のトレーニング不足と教育の中断、運転手の高齢化、昨年のEU離脱に伴う外国人労働者の流出などの要因が組み合わさり表面化した。

政府は軍の応援だけでなく、元トラック運転手を業界に呼び戻し、新しい運転手の訓練を加速させようとしている。

また、イギリスに商品を輸送する外国人運転手に最大3か月のビザを提供するという追加の措置も発表したが、多くの専門家や当事者が政府の対応はちぐはぐで遅すぎると批判した。

イギリスに商品を輸送しているルーマニアのトラック運転手ブロン・ゾルタン氏はAP通信の取材に対し、「ビザを与えられても、私はルーマニアの会社と契約しています」と語った。「正式な応援要請が入れば協力する運転手はたくさんいると思います。しかし、ビザだけ与えられても給与が出なければ意味がありません」

ボリス・ジョンソン首相は28日、危機が表面化してから初めて会見を開き、「イギリスは自分のビジネスに自信を持って取り組むべきだ」と語った。

一方、野党労働党のキール・スターマー党首は政府の対応を厳しく批判した。「政府は中途半端な解決策を提供しています。ジョンソン首相は状況を把握し、現場の邪魔をせず、コロナを含む様々な要因が引き起こした運転手不足を解消するためにステップアップしてください」

イングランドの認可タクシー運転手協会のスティーブ・マクナマラ事務局長はAP通信の取材に対し、「28日の時点で組合員の約4分の1は働くことができず、状況が改善する見通しは立っていない」と頭を抱えた。「改善の兆しは見えません。ガソリン危機でタクシーは走らず、コロナ危機で多くの運転手が自宅療養しています。駅前のタクシー乗り場に並ぶ人々はイライラしているでしょう...」

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