◎香港証券取引所が発表した合意に基づき、株式の売却益は利息の支払いと負債の返済に充てられることになった。
2021年9月23日/中国、広東省深セン市の恒大集団本社ビル前(NgHan Guan/AP通信)

9月29日、中国の不動産開発大手「恒大集団」は、保有する盛京(せいきょう)銀行の株式17億5,000万株を15億ドル(約1,700億円)で売却すると発表した。

主要メディアによると、同社が今回売却する盛京銀行の株は発行済み株式の約20%に相当し、国営の瀋陽盛京金融投資集団が買い取るという。これにより、瀋陽盛京金融投資集団は盛京銀行の筆頭株主になり、盛京銀行の保有率は大きく低下することになった。

資金繰りに苦しむ恒大集団は先週、債券の利息の支払いを逃し、29日には新たな債券利息4,750万ドルの支払い期限を迎えた。

香港証券取引所が発表した合意に基づき、株式の売却益は利息の支払いと負債の返済に充てられることになった。これは、売却益は関係会社への工事費用支払いや住宅購入者への補償を含む他の用途に使用できないことを意味する。

投資家たちは、恒大集団が会社の運営を維持できるかどうかを慎重に見守っている。今回の株式売却でひとまず最新の利息支払いはクリアしたと思われるが、手元の資金が不足していることに変わりはない。

一方、ロイター通信などの主要メディアによると、共産党指導部は国営企業と共産党の支援を受ける不動産開発業者に、恒大集団に必要な資金を提供するために株式を含む資産を購入するよう奨励したという。

共産党は不動産開発業者に債務を適切に管理するよう命じている。しかし、恒大集団は3,000億ドル(約33兆円)を超える債務の処理に苦労し、手元の資金は枯渇し、世界の株式市場を混乱させた。

習近平 国家主席は国内の富を全国に広げ、富裕層と貧困層のギャップを埋める「先富論」を推進しており、恒大集団に投資した銀行や投資家を犠牲にしてでも住宅購入者を支援する可能性が高いと予想されていたため、多くの投資家が借金踏み倒し(国有化)を警戒し、同社の株を売却した。地元メディアによると、同社は未完成の開発プロジェクトを1,300件以上抱え、100万人以上が新居への引っ越しを待っているという。

恒大集団の市場価値は昨年、約80%下落した。

香港証券取引所によると、恒大集団の株価は29日午前の時点で10%以上値上がりしたという。国営の瀋陽盛京金融投資集団と盛京銀行は上場していない。

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