◎バイデン大統領はトランプ前大統領が21%まで引き下げた法人税率を以前の28%に戻したいと考えている。
2021年9月11日/ニューヨーク州の国立9.11記念博物館、記念式典の様子(Chip Somodevilla/Pool/AP通信)

ジョー・バイデン大統領はアメリカ再建事業に伴う壮大な増税計画を実行に移すために、民主党員の説得を試みている。

しかし、ビジネスリーダーたちはこの増税計画を非難し、ドナルド・トランプ前大統領は「史上最悪の自傷行為」と呼んだ。

一方、バイデン大統領は先日、民主党員に感情的な議論を受け入れるよう強く促した。ホワイトハウスによると、計画は公正であり、生活に余裕のある富裕層の税金を増やすことで、子供や中産階級を対象とした政策に資金を投入できるという。

バイデン大統領は、大企業と裕福な世帯に対する増税および、裕福な人々を対象とする国税監査の強化により、3兆ドル(約330兆円)以上の歳入増を見込めると提案した。しかし、議会委員会はさまざまな企業グループが反対することを想定したうえで提案をふるいにかけ、主要な委員は先週、この計画に疑問を呈した。

バイデン政権が提案し、上院超党派の合意を得た1.1兆ドル(約120兆円)のインフラ法案と、下院民主党が提案した3.5兆ドル(約380兆円)のヒューマンインフラ法案の支出は、主に法人税の引き上げにより得られる税収で賄われる予定であり、経済界からの激しい反発と共和党員の爆発的な抵抗に直面した。

バイデン大統領はトランプ前大統領が21%まで引き下げた法人税率を以前の28%に戻したいと考えている。

ホワイトハウスの副コミュニケーションディレクター、ケイト・バーナー氏はABCニュースのインタビューの中で、「国民の多くは海外で利益を上げる企業が税金を支払っていないことを理解していません」と語った。「彼らは数億ドル稼ぐヘッジファンドのリーダーが配管工より税金を支払っていないことを知りません...」

一部の米主要メディアは、「バイデン大統領は法人税の引き上げ率を最初から低く見積もっている」と報じたが、ホワイトハウスは28%以下で妥協するかどうかを明らかにしていない。

バイデン大統領を支持する議員団は当初の予定通り28%で議会委員会に法案を提出した。しかし、ジョー・マンチン上院議員を含む一部の民主党員は早い段階で予算額と増税に懸念を表明し、インフラの法案の予算は当初の計画から大幅に引き下げられた。

マンチン上院議員は以前の声明で、「超大国を率いるのであれば、競争力のある税率を維持した方がよい」と述べ、バイデン大統領に再考を促していた。

2021年9月11日/ニューヨーク州、ニューヨーク市警の第17警察署を訪問したドナルド・トランプ前大統領(Getty Images/AFP通信)

ホワイトハウスの想定によると、法人税の引き上げを含む一連の増税計画は10年間で約2兆ドル(220兆円)の歳入を生み出し、その約70%は法人税率を28%に設定し、利益に対する最低税を改定することで得られるという。残りの30%は、株式や不動産などの資本資産の売却による利益に課される税率の引き上げを含む、裕福な米国民に対する個人税の引き上げにより得られる。

また、大企業などを対象とする国税監査の強化は、新たに4,600億ドル(約50兆円)の歳入増を生み出すと想定されている。さらに、財務省の分析によると、国内国歳入庁(IRS)の職員のスキルが十分に強化されると、次の10年で歳入は1.6兆ドル(約170兆円)に増加する見込みだという。

これに対し、Target、Best Buy、その他の主要小売業者を率いる小売業界リーダー協会は9日、議会に法人税率を引き上げるのではなく、IRSの監査を強化し、すべての企業に少なくとも最低税を支払うよう促すべきと主張した。

アメリカの石油およびガス産業を代表する最大の業界団体であるアメリカ石油協会は増税に激しく反対するだけでなく、気候対策推進派の提案を打ち負かすよう働きかけている。

アメリカ石油協会は数百万ドル規模の広告キャンペーンを展開しており、「ワシントンD.C.は極端なコースを設定することでアメリカの基幹産業を打ち負かそうとしている」と視聴者に伝えている。

バイデン大統領は気候変動対策の強化を政策の柱の一つに掲げており、化石燃料を時代遅れと呼んだ。

トランプ前大統領から最も危険な左翼と呼ばれた民主党のバーニー・サンダース上院議員は増税を熱望し、「私たちは勝つ!」と宣言した。「私たちは大企業やロビイストのためでなく、国民のために戦っています。政府は国民のために働いていると証明しなければなりません。私たちは勝つつもりです...」

しかし、全米商工会議所の副社長兼最高政策責任者であるニール・ブラッドリー氏は、提案された増税は前例のない規模だが、法案の予算を補填するには不十分と警告した。「私は25年間この業界で働いてきました。私たちは知っています。この規模の予算は必ず自重で崩壊します...」

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