◎農民たちは昨年9月に可決された農業法の廃止を求めている。
2021年9月5日/インド、ウッタル・プラデーシュ州、農業法に反対する抗議デモ(Getty Images/AFP通信)

9月5日、インドのウッタル・プラデーシュ州で新しい農業法に抗議するデモが開催された。警察当局は50万人以上が集まったと発表したが、AFP通信を含む主要メディアは数万人と見積もっている。

農民たちは昨年9月に可決された農業法の廃止を求めている。

デモの主催団体は5日、昨年11月の抗議開始以来最大のデモが開催されたと述べた。

インド政府は特定の作物に保証価格を設定し、農家の生活を守ってきた。

以前の法律では、農家は州の農産物市場委員会を通して保証価格以上で農産物を販売していたため、売り上げを確保しやすかった。また、農産物の購入量と必需品に設定されているものの価格には上限が設定されていた。

しかし、政府は新しい農業法の施行に合わせて農産物市場委員会を解体する予定であり、農家は自分の農産物を誰にでも好きな価格で販売できるようになる。

ナレンドラ・モディ首相は、「農家は農産物市場委員会を通さずバイヤーと直接取引できるため、商売の自由度は格段に向上する」と主張した。しかし、大半の農家は農産物を大量供給できる大企業が農産物の価格を引き下げ、小規模農家は駆逐されると反論した。

ウッタル・プラデーシュ州の通りに集まった抗議者たちは旗を振り回し、トラクターやバイクのクラクションを激しく鳴らしながら行進した。主催団体の指導者たちは、市内の主要な幹線道路を全て占領すると叫び、抗議者を煽った。

現地メディアによると、主要な通りには警察官数千人が配備されていたという。

指導者のひとりは行進に先立ち、インドの農業を支えているウッタル・プラデーシュ州の怒りは全国に波及するだろうと述べた。「モディ政権は反農民だということを全国に発信しなければなりません。全ての都市と道路を練り歩き、抗議の勢いを加速させましょう」

指導者は9月27日に全国規模のストライキを決行すると呼びかけた。

首都ニューデリーの近郊では農業法に反対する農家が昨年11月頃にキャンプを設置し、現在も数千人が抗議を続けている。

ニューデリーの抗議を率いる指導者は5日に開催された集会の中で、法律が廃止されるまで戦い続けると誓った。「ここで死ぬことになっても、私たちはニューデリーを離れません...」

ウッタル・プラデーシュ州では来年、州選挙が実施される予定。指導者のひとりは、同州の州議会を支配しているモディ首相のインド人民党に引導を渡すと誓った。「私たちの主張は明確です。法律を廃止しなさい。拒否すればインド人民党は農家の票を失い、必ず敗北するでしょう」

政府と農業団体は複数回交渉を行ったが、膠着状態を打破することはできなかった。政府は昨年、法律の施行を18カ月間保留すると提案したが、団体はこの申し出を拒否している。

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