◎共和党は法案に強く反対したが、投票の結果、法案は賛成220ー反対212で可決され、上院に送られた。
2021年8月24日/ワシントンD.C.議会議事堂、民主党のナンシー・ペロシ下院議長(Getty Images/AFP通信)

8月24日、米議会下院はジョー・バイデン大統領の野心的なコミットメントを実現する3.5兆ドル(約380兆円)のヒューマンインフラ法案を賛成多数で可決した。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は家族の支援、健康、気候変動対策に多くの予算を費やすべきと主張している。

共和党は法案に強く反対したが、投票の結果、法案は賛成220ー反対212で可決され、上院に送られた。

ペロシ下院議長は今月初旬、議会上院を賛成多数で通過した超党派の1.1兆ドル(約120兆円)のインフラ法案を下院で審議してほしければ、ヒューマンインフラ法案の上院通過を保証しなければならないと脅迫した。

バイデン大統領は道路、橋、電力網、公共交通機関、インターネット網の改修に必要なインフラ法案の速やかな法制化を望んでいる。

ペロシ下院議長は24日の投票に先立ち、「ヒューマンインフラ法案を可決することで、50年後の偉大なアメリカを実現するバイデン大統領のビルドバックベター計画(政権公約)の道が開かれます」と語った。

また、この法案への抵抗はその他の法案の審議を遅らせるだけであり、アメリカの利益にならないと警告した。

バイデン大統領の政権公約であるビルドバックベター計画は新たな雇用を創出し、働く家族のコストを削減するだけでなく、大企業や大富豪に重い税金を課す。

バイデン大統領は法人税率を21%から28%に引き上げ、企業に21%のグローバル最低税を課し、さらに15%の最低税を課し、化石燃料業界に与えられた税制上の優遇措置を廃止し、大企業に対するIRS監査を強化することで節税対策を打ち負かしたいと考えているが、共和党はこの計画を全て却下すると誓っている。ドナルド・トランプ前大統領は以前、バイデン大統領の計画を「歴史上最大の自傷行為」と呼んだ。

しかし、よりリベラルな下院民主党員は、育児プログラムの強化や富裕層への課税を含む民主党のビルドバックベター計画が法制化されない限り、超党派のインフラ法案には投票しないと言い出した。

しかし、中道派の下院民主党員は経済の回復を強く後押しするインフラ法案の速やかな可決を望んでおり、「リベラル派はインフラ法案を人質に取った」と非難した。

AP通信などによると、下院民主党は23日遅くに緊急会合を開き、ヒューマンインフラ法案をめぐる問題などについて議論したという。中道派はペロシ下院議長に、インフラ法案の審議を押しつぶすべきではないと警告したと伝えられている。

ペロシ下院議長は24日、10月1日までに両法案を可決しバイデン大統領の机に送るという目標を設定した。

一方、上院民主党は現在、ヒューマンインフラ法案を可決するための特別な予算プロセスを実行しており、これが完了すれば上院共和党の議事妨害(フィリバスター)を無効にできる。しかし、議論しなければならないことは星の数ほどあり、法案がどのように取り扱われるかは不明。

共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首は24日の記者会見で、「バイデン大統領、ペロシ下院議長、シューマ―上院院内総務は手に入れた鍵を左翼に渡した」と非難した。

ヒューマンインフラ法案の起草を主導したのは、自称民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員とその他のリベラル派である。

2021年7月21日/ワシントンD.C.議会議事堂、民主党のバーニー・サンダース上院議員(Getty Images/AFP通信/ABCニュース)
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