◎スコットランド国民党は今年5月に行われた議会選挙で勝利したが、単独過半数にはあと1議席足りなかった。今回の協定により、独立推進派は議会で過半数を占めることになった。
2021年8月20日/スコットランドの政府庁舎、ニコラ・スタージョン首相(中央)と緑の党の共同リーダーであるパトリック・ハービー議員(左)とローナ・スレイター議員(右)(PAメディア/AP通信)

8月20日、スコットランド議会の与党国民党と緑の党は、独立住民投票の実施に向けた取り組みを加速させる協定に合意した。

スコットランド国民党は今年5月に行われた議会選挙で勝利したが、単独過半数にはあと1議席足りなかった。今回の協定により、独立推進派が議会で過半数を占めることになった。

<2021年スコットランド議会選挙 定数129>
・国民党 64議席
・保守党 31議席
・労働党 22議席
・緑の党 8議席
・自由民主党 4議席

国民党は2007年から政権を維持している。現在の党首であるニコラ・スタージョン首相は2014年の独立住民投票が失敗に終わった後、首相に就任した。

<2014年のスコットランド独立住民投票>
賛成44.7%:反対55.3%

スタージョン首相は記者団に対し、「歴史的な合意に至ったことをうれしく思う」と述べた。「この合意はより優れた環境と公平性、そして、独立したスコットランドを構築するために役立つでしょう」

イギリス議会はスコットランド議会に健康、教育、エネルギー問題など、さまざまな権限を付与しているが、多くの経済および安全保障問題の権限は与えていない。

現地メディアによると、協定に基づき、緑の党の議員2人が大臣に就任することが決まったという。緑の党はその見返りとして、年度予算だけでなく、信任投票でも国民党を支持すると約束した。

緑の党の共同リーダーであるパトリック・ハービー議員は、「コロナウイルスがもたらした景気後退から回復するためには、政治のやり方を変える必要がある」と語った。「私たちはより公正で思いやりのある国を創設し、気候の緊急事態に取り組み、スコットランド全体に公平な政治をもたらすために全力で努力しなければなりません...」

イギリス議会はスコットランドの独立に強く反対しており、対立はさらに深まると予想されている。スタージョン首相はコロナウイルスは終息すると仮定したうえで、2024年末までに独立住民投票を行いたいという党の主張を繰り返した。

ただし、住民投票を行うかどうかを決めるのは保守党のリーダーであるボリス・ジョンソン英首相であり、許可されるかどうかは不透明な情勢。

ジョンソン首相は2014年9月に行われた独立住民投票でこの問題は解決したと主張している。当時、スコットランドの有権者55.3%が独立に反対した。しかし、独立推進派はイギリスのEU離脱で有権者の考えは大きく変わったと主張している。

スコットランドの有権者62%は2016年のブレグジット国民投票でEU残留を支持した。

<2016年のブレグジット国民投票>
イギリス 残留46.62%:離脱53.38%
スコット 残留62.00%:離脱38.00%
北アイル 残留55.78%:離脱53.38%
ウェール 残留47.47%:離脱52.53%
結果   残留48.11%:離脱51.89%

スタージョン首相は演説の中で、「独立住民投票の実施時期はイギリス議会が決める」と強調した。「有権者の民意を阻止しようとするジョンソン首相の試みは、スコットランドの独立への欲求を刺激するだけです...」

2021年5月9日/スコットランド、首都エディンバラ、スコットランド国民党のニコラ・スタージョン首相(AP通信/スコット・ヘッペル)
スポンサーリンク