◎ロシアの検察当局は11日、投獄された野党党首アレクセイ・ナワルニー氏を新たな容疑で起訴したと発表した。
ロシアの検察当局は11日、投獄された野党党首アレクセイ・ナワルニー氏を新たな容疑で起訴したと発表した。
当局者は声明で、「人権を侵害する非営利組織を創設した罪でナワルニー氏を起訴した」と述べた。現地メディアによると、有罪判決を受ければ3年以下の懲役刑を科される可能性があるという。
当局者によると、10年前にナワルニー氏が創設した汚職防止財団(FBK)は今年1月、国民に抗議活動に参加するよう促す無許可動画を拡散し、違法行為を扇動したという。FBKはナワルニー氏の逮捕に抗議する動画をユーチューブやツイッターなどに投稿し、抗議活動に参加するよう支持者らに呼びかけていた。
国連のステファン・ドゥジャリック報道官は記者会見で、「グテーレス事務総長は民主主義を求める平和的な抗議に対する違法な取り締まりに強い懸念を抱いている」と述べた。
ナワルニー氏はウラジーミル・プーチン大統領の独裁に抵抗する民主主義勢力のリーダーであり、昨年ソビエト産の猛毒「ノヴィチョク」をロシアのエージェントに塗布され、死にかけた。ロシアは暗殺未遂事件への関与を否定したが、ドイツ、フランス、そしてスウェーデン当局はナワルニー氏に塗布された毒薬がノヴィチョクであることを突き止め、西側諸国はロシアを厳しく追及した。
ナワルニー氏は2月、2014年の横領事件で執行猶予付きの有罪判決を受けたにもかかわらず国外に逃亡したとして、懲役2年半の実刑判決を受けた。しかし、ナワルニー氏は2014年の横領事件を「プーチンの策略」と完全否定し、被害者とされる企業も「事実無根」と政府を強く非難している。
ナワルシー氏の逮捕と投獄は全国規模の抗議活動に発展したが、屈強なクレムリンの治安部隊は抗議者を力でねじ伏せ、数千人を鉄の拳で殴打し、ナワルニー氏の側近や関係者を刑務所に送った。
モスクワの裁判所は6月、FBKを過激派組織に指定し、サンクトペテルブルクなどにあるFBKの地方事務所は閉鎖を余儀なくされた。また、FBKに関わった者は公職に就くことを禁じられた。
さらに、ロシア当局はFBKの広報活動に関与したチームおよび個人のウェブサイトを全てブロックし、先日、クラウドファンディングを通じてナワルニー氏を支援しようとしたイヴァン・ジダーノフ氏とレオニード・ボルコフ氏に対する刑事捜査を開始した。
ナワルニー氏に近い関係者はこれらの厳しい取り締まりを今年9月に予定されている議会選挙と結び付けた。9月19日に投票を予定している議会選挙は2024年大統領選の前哨戦と見なされている。
20年以上権力を保持しているプーチン大統領は昨年、憲法改正を推し進め、2036年まで政権を維持できる体制を確立した。
ナワルニー氏の支持者たちは議会選挙に出馬することを計画しており、選挙活動の中でスマート投票戦略を展開すると約束した。この戦略はプーチン派閥を打ち負かす野党プロジェクトのひとつとして期待されている。