◎極めて裕福な王族の改革を求める抗議デモは昨年爆発し、多くの抗議者が抜本的な政治改革を求めた。
タイの機動隊は7日、プラユット・チャンオチャ首相の政策などに反対する反政府抗議者数百人を放水砲、催涙ガス弾、ゴム弾などで打ち負かした。
主に若者で構成されるデモ隊は、首都バンコクのディンデーン地域で機動隊と数時間にらみ合い、石、ビン、花火、スリングショットなどを使って攻撃した。
デモの主催者は、昨年立憲君主制の見直しを求める大規模集会を企画した「フリーユース」と呼ばれる組織と伝えられている。組織の代表はプラユット首相のコロナウイルス対策を厳しく非難した。
バンコクのエラワン医療センターによると、警察官3人を含む5人がデモ中に負傷し、入院したという。デモは7日午後に終了したが、一部の抗議者は警察に石やビンを投げつけ、激しく抵抗した。
デモに参加した男性は地元メディアの取材に対し、「私は立憲君主制の廃止を求めています」と語った。
別の抗議者は王族の予算の一部をコロナ対策に振り分けるよう要求した。
7日のデモは旧市街の大宮殿近くで行われる予定だったが、2014年の軍事クーデターで政権を奪取したプラユット首相のいる軍複合施設周辺に急遽変更された。
極めて裕福な王族の改革を求める抗議デモは昨年爆発し、多くの抗議者が抜本的な政治改革を求めた。
タイのコロナウイルス感染状況は6月中頃から急速に悪化し、8月6日の新規症例は過去最高を更新する21,379件、死亡者も同じく過去最高の191人に達した。
タイ王室の資産は400億ドル(約4兆4,000億円)以上と伝えられており、「世界一裕福な王族」と呼ばれている。ラーマ10世はドイツで悠々自適な生活を送っていたが、昨年10月以来タイ国内にとどまり、イメージの回復に努めている。