◎バイデン大統領は記者団に対し、この契約は自分が望んだものではないが、超党派で合意に達したことが重要だと強調した。
6月24日、アメリカのジョー・バイデン大統領は超党派会議に出席した民主党と共和党の上院議員と新しいインフラ法案に合意したと発表した。
バイデン大統領は両党の議員を引き連れホワイトハウス前で記者団の取材に応じたが、取引の詳細はほとんど明かさなかった。当初予定していた約2.3兆ドル(250兆円)のアメリカン・ジョブズ・プランの予算は、法案成立から5年間の新規支出5,790億ドルを含む「8年間で約1.2兆ドル(130兆円)規模」になると見込まれている。
バイデン大統領は記者団に対し、この契約は自分が望んだものではないが、超党派で合意に達したことが重要だと強調した。「望むものを全て手に入れることはできませんでしたが、それは共和党も同じです。私たちは話し合い妥協点を見出しました。超党派による合意こそ民主主義の核心です」
その後、バイデン大統領はツイッターに「我々は契約を結んだ」と投稿した。「上院のチームが集まり、何百万もの雇用を創出するインフラストラクチャー契約を結びました」
アメリカン・ジョブズ・プランは民主党と共和党の亀裂を拡大させ、数カ月にわたる激しい交渉の末、一時は崩壊寸前と伝えられていた。バイデン大統領は法人税率の引き上げやキャピタルゲイン税を見直すことでインフラの改修資金を調達すると主張したが、共和党は激しく反発していた。
AP通信によると、バイデン大統領は年収40万ドル以上の市民に新たな税金を課すと主張したが、共和党員は納得しなかったという。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長は24日、民主党の力だけで法案を可決できる特別な予算プロセスとバイデン大統領の契約を組み合わせる必要があると強調した。
民主党は下院で過半数を占めており、上院でも1議席優位を保っている。そして予算法案は野党の議事妨害(フィリバスター)を無効化できる特別なプロセスを利用できるため、上院民主党は共和党の協力を得ることができなくてもカマラ・ハリス副大統領のタイブレーク票で法案を通過させることができる。
ペロシ下院議長は記者団に対し、「上院の予算プロセス処理が完了するまで下院は投票しない」と誓約した。
バイデン大統領の新しい契約は「富裕層からもっと税金を取り立てるべき」と主張している進歩的な民主党員の怒りを引き起こす可能性がある。しかし、共和党と協力して前進することは他の法案の協議の加速につながるだけでなく、「アメリカは専制政治を却下し、民主主義を重んじる」というメッセージを世界に発信することにつながる。バイデン大統領と上院議員らは「超党派で合意に達したことが最も重要」と強調した。
一方、バイデン大統領は気候変動に立ち向かう新たなクリーンエネルギー分野に数千億ドル規模の予算を投入すると約束していたが、今回の契約で温室効果ガスの削減が当初の予定通りに進むかはどうかは不透明な情勢になった。
バイデン大統領は昨年の選挙期間中に電気自動車と充電ステーションへの投資、化石燃料の削減を実現するための研究や開発への資金提供など、進歩的な公約で多くの支持を獲得した。
ABCニュースによると、今回の契約には富裕層や企業に対する増税が含まれている可能性が高いため、一部の共和党員や企業団体では緊張が高まっているという。
全米商工会議所のニール・ブラッドリー副社長は23日の声明で超党派のインフラ契約を称賛したが、「税金の引き上げは拒否しなければならない」と警告した。「一部の議員は私たちを魚雷で攻撃しようとしています。金額を下げる代わりに税金を上げるという戦術は拒否しなければなりません」
共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首は24日、契約の「概念を支持する」と述べた。
民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は、「法案の一部は予算プロセスなしでは成し遂げられないだろう」と警告した。