◎今年、アメリカはBrood Xと呼ばれるセミのあたり年を迎えると予想されている。
米ABCニュースによると、オハイオ州ニューリッチモンドの男性は運転中にセミに襲われ、ハンドル操作を誤り、ポールに衝突したという。
セミに襲われた男性はABCの取材に対し、「車にエアコンはついておらず、窓を開けて運転していました」と語った。「暑かったので窓を開けていました。すると、どこからともなくセミが飛んできて、私の顔に体当たりしました。私は困惑しハンドル操作を誤りました」
同州シンシナティの警察当局は6月8日、セミに襲われ大破した男性の車の写真を投稿した。
ABCニュースによると、男性とセミにケガはなく、大破した車は新車だったという。事故後、男性は新車の修理もしくは再購入の支援を呼びかける募金活動を開始した。
男性はインタビューの中で、「セミは私から大切なものを奪いました」と語った。「あいつは本当にひどい奴です」
今年、アメリカはBrood Xと呼ばれるセミのあたり年を迎えた。Brood Xは17年周期で大量発生することが分かっており、全米各地で数兆匹のセミが地面からはい出し、皮を剥ぎ、成虫になり、ジジジと鳴き、交尾し、産卵し、死ぬと予想されている。
メリーランド大学の昆虫学者、ポーラ・シュルーズベリー氏によると、Brood XはワシントンD.C.ホワイトハウスの敷地内でもほぼ間違いなく大量に羽化するという。
#Crash single car into a pole at 2600 Riverside Drive. Caused by a cicada that flew in through an open window striking the driver in the face. #nothinggoodhappenswithcicadas #cicadas2021 pic.twitter.com/0WWUM8y5Ye
— Cincinnati Police Department (@CincyPD) June 7, 2021
G7首脳サミットの開催地イギリスに飛行する予定だったエアフォースワンは9日、Brood Xの大群に襲われ、離陸が7時間遅れた。
エアフォースワンの点検完了に合わせてアンドリュース空軍基地に入ったジョー・バイデン大統領もセミに襲われた。Brood Xは記者団の質問に答えるバイデン大統領の首元に着陸し、ジジジと鳴き、その後離陸した。
バイデン大統領は記者団に対し、「セミがいますね」と語った。「気を付けてください。セミがいます。私も今1匹捕まえました」
ABCニュースによると、先週中米ツアーを行ったカマラ・ハリス副大統領もBrood Xに襲われたという。セミは副大統領専用機エアフォース2の機内にも潜入したが、シークレットサービスに捕獲されたと伝えらえている。しかし、エアフォース2はセミの影響と思われる不具合で飛行できず、別の機体に変更された。
セミがエアフォース2にどのような影響を与えたかは明らかにされていない。
昆虫学者のポーラ・シュルーズベリー氏は、「セミは騒音に引き付けられる習性があるため、エアフォースワンおよび2のエンジン音に反応した可能性が高い」と語った。「セミは飛行機のエンジン音を仲間の鳴き声と勘違いした可能性があります」
オハイオ州デイトンにあるライト州立大学の生物科学教授、ドン・チポリーニ氏はABCニュースのインタビューの中で、「虫が苦手な人はつらい夏になると思います」と述べた。「Brood Xは噛んだり刺したりしません。しかし、彼らはあなたに何度もぶつかるでしょう」
メリーランド大学の昆虫学者マイク・ラウプ氏は、「Brood Xはバイデン大統領と一緒にイギリスに行きたくないの?」とツイートした。Brood Xはアジアの一部地域にも生息しているが、地球上の個体の大半は北アメリカにいると考えられている。なお、ヨーロッパにはいない。
セオドア・ルーズベルト大統領は1902年、アーリントン国立墓地でBrood Xの大群に襲われたと伝えられている。
ロナルド・レーガン大統領は1987年、ラジオ演説の中でBrood Xの大量発生に言及した。「セミは朝から夕方まで鳴き続けます。彼らが地中に戻ることを願っています」