◎レバノン政府は2019年10月以来、現地通貨の価値を85%も失うという前例のない金融危機に対処しようとしている。
6月11日、レバノン全土で乳児用ミルクやガソリンを含む物資の供給不足が進む中、薬局の薬剤師たちは医薬品の深刻な不足に抗議し、店を閉鎖した。
現地メディアによると、全国の多くの薬剤師が2日間のストライキに応じたという。
各地のガソリンスタンドには夜明け前から長蛇の列ができたものの、ガソリンの供給量は限られているため、一部の店舗で乱闘が発生したと伝えられている。
ガソリン不足の影響は街全体に波及し、高速道路や街の主要な通りで大渋滞が発生した。現地メディアによると、ガソリン不足はレバノン市民の主要な電力源である自家発電機の停止につながる恐れがあるという。
首都ベイルートの住民、ラビー・アルカイク氏はAP通信の取材に対し、「状況は耐え難い」と述べた。「薬局はどこも閉まっています。薬も粉ミルクもありません。薬剤師は無能な政府に抗議しています。ガソリンスタンドにガソリンはありません。レバノンには夢も希望も物資もありません」
レバノン政府は2019年10月以来、現地通貨の価値を85%も失うという前例のない金融危機に対処しようとしている。銀行は急激なインフレの影響で口座を閉鎖せざるを得なくなり、市民は自分の預金が消えたことに困惑した。銀行は預金の引き出しと送金を制限している。
外貨準備が枯渇する中、政府は薬やガソリンを含む物資の確保に失敗し、市民に買い占めをやめるよう促すことしかできなかった。
レバノンの危機は、宗教指導者という理由だけで政府高官になった無能な役人による数十年にわたる腐敗と管理ミスに根ざしている。レバノンポンドがドルに対して記録的な下落を続ける中、指導者たちは新政府の形成を巡って8カ月もの間、争っている。現地メディアによると、6月11日の闇市場でのドルの取引価格は3月以来初めて15,000レバノンポンド近くに達したという。
レバノンの医療システムはコロナウイルスと金融危機の影響で大きな打撃を受けており、一部の病院では手術を中止し、検査キットが不足しているという理由でコロナ検査を諦めたと伝えられている。政府の医療専門家は10日、全国の病院で手術に使用する麻酔が不足する可能性があると警告した。
薬剤師は慢性疾患の薬、鎮痛剤、粉ミルクなど、ありとあらゆる物資が不足している影響で顧客や患者との関係が著しく悪化していると主張した。
レバノン政府はイスラム過激派組織ヒズボラの支配下に置かれている。