◎国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士は先日公開された数千ページに及ぶ電子メールの中で、「コロナウイルスは自然界から発生したものと信じているが、研究所で作りだされたという理論を含むその他のいかなる理論も完全に否定することはできない」と述べていた。
米主要メディアによると、一部の共和党員は国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ博士をクビにするための攻撃を加速させたという。
先週、ファウチ博士の電子メールが公開されたことを受け、保守的なニュースチャンネルは、「トランプ大統領の指揮下で働いたやぶ医者は、中国政府を守るためにコロナウイルスの起源に関する情報を隠蔽した」と証拠を提示することなく悪口を言った。
ファウチ博士は公開された数千ページに及ぶ電子メールの中で、「コロナウイルスは自然界から発生したものと信じているが、研究所で作りだされたという理論を含むその他のいかなる理論も完全に否定することはできない」と述べていた。
共和党はファウチ博士が不正行為に関与したという証拠を提示していないが、一部の共和党員は国立アレルギー・感染症研究所の所長を今すぐ辞任すべきと主張した。また、コロナの起源に関する新たな調査を求める声も高まっている。
共和党はジョー・バイデン大統領のコロナ対策の失敗を見つけたいと考えているが、これまでのところ大きな成果は上がっていない。AP通信・NORC研究所、ABCニュースなどの最新の世論調査によると、バイデン政権のコロナ対策に関する支持率は70%を超えている。
ファウチ博士は先日公開されたCNNニュースのインタビューの中で、「コロナに関する電子メールを何千件も受け取ったが、いかなる理論も完全に否定したことはない」と主張した。「私はコロナウイルスは動物種から人間に感染したと信じていますが、100%断言することはできません。研究室から広がったという主張も頭の中にとどめていました...」
バズフィードとワシントン・ポスト紙が入手したパンデミックの初期に発信された電子メールによると、コロナウイルスの起源に関する隠蔽の証拠は見つからなかったという。しかし、ドナルド・トランプ前大統領を含む一部の共和党員は、ファウチ博士はコロナウイルスの起源を隠蔽したとしつこく主張した。
パンデミックの初期、多くの専門家はコロナは中国武漢市の研究所から広がったという仮説を否定したが、起源は未だに不明のままであり、先日主要メディアが報じた武漢説に関する記事は注目を集めた。
ファウチ博士は昨年、中国武漢のウイルス学研究所の研究に資金を提供した非営利団体の責任者に電子メールで、「公の場で科学は自然起源を支持していると述べたことに感謝している」と謝意を示されていた。
コロナ対策に失敗したトランプ前大統領は今週の声明でファウチ博士を厳しく非難した。「ファウチは質問に答えなければなりません。ファウチはコロナの重症度および伝染性に関する研究について何を知ったのですか?ファウチはその真実をいつ知ったのですか?」
共和党のスティーブ・スカリース下院議員は6月3日、フォックス・ビジネス・ネットワークのインタビューの中で、「ファウチは宣誓し、質問に答えなければならない」と述べた。スカリース下院議員は「ファウチをクビにしろ(FIRE FAUCI)」という募金メールを一斉送信している。
別の共和党員は「真実を明らかにする時が来た」と語った。「ファウチのメールとコロナの起源に関する報道は世界に衝撃を与えました。ファウチは辞任し、コロナの起源の隠蔽に関与したことを認め、真実を追求するための取り組みに協力しなければなりません」
一方、ホワイトハウスは共和党の主張を却下し、ファウチ博士をバックアップすると誓った。ジェン・サキ報道官は今週、「ファウチ博士はコロナの収束、ワクチン展開、感染予防対策、その他の様々な取り組みを推進したアメリカの宝」と称賛し、突然記者会見場に姿を現したバイデン大統領もファウチ博士を擁護した。
バイデン政権の当局者と同盟者たちは、「ファウチ博士はアメリカで最も信頼できる公衆衛生責任者のひとりであり、その事実は世論調査でも明らかになっている」と主張した。ある専門家は、「共和党員はトランプ政権のコロナ対策の失敗をファウチ博士に押しつけようとしている」と嘲笑した。
バイデン政権のコロナチーム上級顧問を務めるアンディ・スタビット博士はツイッターに、「ファウチ博士はコロナの大流行の可能性を見越し、国民に警戒を促し、mRNAワクチンの開発のためにたゆまぬ努力をしてきました」と投稿した。「ファウチ博士のチームは2020年1月11日にコロナの遺伝子配列を解き明かし、13日からワクチンの開発を開始しました。共和党は控えてください」