◎特別大陪審の召集はドナルド・トランプ前大統領の商取引に関する犯罪捜査が進展したことを示唆している。
米主要メディアによると、ニューヨークの検察官は、ドナルド・トランプ前大統領の商取引に関する犯罪捜査の証拠を検討するための特別大陪審を召集したという。大陪審は権力分立の仕組みの一貫と考えられており、検察官の捜査に基づく証拠だけで被疑者が起訴されることを防ぐ意図がある。
特別大陪審の召集は捜査が進展したことを示唆しているが、トランプ前大統領はまだ起訴されていない。
ワシントン・ポスト紙、AP通信、ABC、CNNなどは、マンハッタン地方検事局はトランプ前大統領の税務記録の取得と約2年におよんだ法廷闘争の結果、起訴に迫っていると報じた。
AP通信によると、この問題に精通している関係者は匿名を条件に取材に応じ、特別大陪審の召集を認めたという。
マンハッタン地方検事局のサイラス・ヴァンスJr.検事長は、トランプ・オーガナイゼーションの資産評価、従業員への報酬、関係者に支払われたと信じられているその他の報酬などを綿密に捜査している。
ヴァンス検事長とNY州のレティシア・ジェームズ司法長官は、約2年間にわたってトランプ前大統領とトランプ組織の犯罪捜査を行ってきた。ヴァンス検事長は、トランプ前大統領の過去8年分の個人および事業税の確定申告を取得するために最高裁判所で2度激闘を繰り広げ、トランプ弁護団に勝利した。
マンハッタン地方検事局はイヴァンカ・トランプ氏に支払われた現金を含む、トランプ・オーガナイゼーションの数百万ドルの税控除の妥当性などを調査している。
イヴァンカ氏の所有するコンサルティング会社は2017年の財務諸表で747,622ドルを受けとったと報告し、同年、トランプ・オーガナイゼーションは、ホテルプロジェクトの税額控除として747,622ドルのコンサルティング料を計上した。イヴァンカ氏は同年、「見習い期間中の事業費」として、70,000ドル以上のヘアスタイリング費用を計上している。
ニューヨーク・タイムズ紙は昨年、「トランプ大統領は将来の減税のために、残損失の繰り越しを可能とする税法を利用している」と報じた。マイアミ近郊にあるトランプ前大統領所有のゴルフリゾート、トランプ・ナショナル・ドラルは2012年の購入以来、計1億6,230万ドルの損失を計上している。スコットランドとアイルランドのゴルフコースの合計損失は6,360万ドルだった。
税務弁護士兼政策アナリストのスティーブ・ローゼンタール氏はタイムズ紙のインタビューの中で、「実業家トランプはこの手法で成功を収めた」と述べた。「他の成功がなければ、このレベルの損失を積み重ねることはできません。タイムズのレポートが事実であれば、トランプは借金を積み重ねることで納税額を抑えていたことになります」
トランプ前大統領は25日に公式ブログ「ドナルドの机（From the desk of Donald J.Trump）」を更新し、「捜査はアメリカ史上最大の魔女狩り」と主張した。「私は税金、規制、軍隊、退役軍人、宇宙軍、国境など、アメリカのために素晴らしい仕事をしました、優れたワクチンの迅速な製造は奇跡と言われています！」
「歴史上最も高い犯罪発生率に苦しんでいるニューヨーク州の検察官は、殺人者、麻薬の売人、人身売買業者などを追いかける代わりに、ドナルド・トランプを追いかけています。これは純粋に政治的な問題であり、検察官は大統領選挙で私を支持してくれた約7,500万人の有権者を脅かしています。そして、魔女狩りは民主党寄りの検察官が推進しています」
AP通信によると、ヴァンス検事長の事務所は取材に応じなかったが、特別大陪審は週に3回開催され、6カ月間続くことが分かったという。ただし、審理の結果によっては起訴状の返還を検討するよう求められる可能性もある。
NY州のジェームズ司法長官は先週、トランプ・オーガナイゼーションに対する民事調査は刑事事件に発展したと述べ、2人の弁護士にヴァンス検事長の事務所と協力して捜査を進めるよう命じた。
現地メディアによると、ヴァンス検事長は捜査を支援するために元検察官のマーク・ポメランツ氏を雇い、トランプ前大統領の元個人弁護士であるマイケル・コーエン氏を含む目撃者にインタビューを行ってきたという。
コーエン氏はロシア疑惑で有罪判決を受けたトランプ前大統領の元同盟国のひとりである。コーエン氏はロバート・ミューラー特別検察官の捜査に協力し、トランプ包囲網の構築に尽力した。
