◎法案は先月末に上院を賛成94ー反対1で通過し、今月初めに下院に遅られ賛成364ー反対62で可決された。上院は稀に見る超党派の動きで法案をあっさり可決した。
5月20日、ジョー・バイデン大統領はコロナウイルスの感染拡大をきっかけに悪化したアジア系アメリカ人に対する暴力とヘイトクライムを阻止するCOVID-19ヘイトクライム法案に署名した。
バイデン大統領は演説の中で「沈黙は共犯だ」と珍しく語気を荒げた。「沈黙は共犯であり、私たちは共犯を許しません。アメリカは声を上げなければなりません。私たちは行動しなければならない。アメリカは法案を圧倒的多数で承認しました」
同法案は先月末に上院を賛成94ー反対1で通過し、今月初めに下院に遅られ賛成364ー反対62で可決された。上院は稀に見る超党派の動きで法案をあっさり可決した。
コロナウイルスの感染拡大以来、アメリカではアジア系アメリカ人に対するヘイトクライムと暴力の報告が急増している。専門家と活動家は反アジアの憎悪が急拡大した原因について、「チャイナウイルスという言葉を公式声明で連発したドナルド・トランプ前大統領の影響が特に大きい」と指摘した。
日系アメリカ人のメイジー・ヒロノ上院議員とグレース・メン下院議員が後援する同法案は、コロナウイルスの感染拡大中に警察によって報告されたヘイトクライムの調査を促進するものであり、調査にあたり、司法省の独立した担当官が選出される。
州および地方の法執行機関はヘイトクライムを当局に報告し、差別を防止する公教育キャンペーンを拡大する。さらに当局は、コロナウイルスとアジアを結びつける差別的な言葉を却下するガイダンスを全国の関係機関に提供する。
法案署名式に出席した関係者は、先日疾病予防管理センター(CDC)が発表した新しいガイダンスに基づき、マスクを外した状態でホワイトハウスに入った。
カマラ・ハリス副大統領は、多くの議員が署名式に出席したことを喜び、関係者に感謝の意を表した。「COVID-19ヘイトクライム法の可決を支援してくれた全議員と関係者に感謝します。皆さんのおかげでアメリカは新たな一歩を踏み出すことができました。アメリカが憎悪と戦うために行動したこの瞬間は、歴史に記録されるでしょう」
COVID-19ヘイトクライム法の要点
・司法長官は司法省の役員または職員を担当官に指名し、期間中、憎悪の迅速な審査を促進する。
・法執行機関向けのガイダンスを発行する。
・ヘイトクライムまたは事件のオンライン報告システムを確立する。
・ヘイトクライムの意識を高め、被害者に寄り添った公教育キャンペーンを拡大する。
・COVID-19健康格差タスクフォースおよび地域密着型組織と協力して、ヘイトクライムへの意識を高めることを目的としたガイダンスを発行する。
・ヘイトクライムの特定、調査、報告に関するポリシーを採用する。
・ヘイトクライムの発生率を収集、分析、報告する標準化されたシステムを開発する。
・ヘイトクライムの特定、調査、報告を専門とするユニットを設立する。
・ヘイトクライムの影響、ヘイトクライムの被害者が利用できるサービス、およびヘイトクライムに関連する連邦、州、地方の関連法に関する公開会議または教育フォーラムを実施する。
・政府機関の職員にヘイトクライムトレーニングを提供する。
・収集された情報を含む報告書を司法長官に提出する。