◎チャドのイドリス・デビ・イトノ大統領は4月17日に発生した反政府勢力との戦闘で死亡したと伝えられている。大統領の死に伴い、政府と議会は解散し、暫定評議会が設立された。
4月25日、チャドの暫定評議会は故イドリス・デビ・イトノ大統領の死に関与したと伝えられている反政府勢力の停戦交渉の申し出を却下した。
デビ大統領は4月17日に発生した反政府勢力との戦闘で死亡したと伝えられている。大統領の死に伴い、政府と議会は解散し、暫定評議会が設立された。デビ大統領は4月11日の暫定大統領選挙で勝利を宣言したばかりだった。
チャド政府は20日、デビ大統領の息子、マハマト・イドリス・デビ・イトノ軍司令官が暫定評議会の議長兼大統領に就任すると発表した。報道によると、暫定評議会は移行期間（18カ月）後、議会選挙と大統領選挙を実施する予定だという。
野党と反政府勢力は、暫定評議会の設立とマハマト暫定大統領の就任を軍事クーデターと非難した。
一部の専門家もデビ大統領の死に疑問を投げかけている。「政府は、デビ大統領は反政府勢力との戦闘で死亡したと発表しましたが、この報告を信じる人は少ないでしょう。チャドのガバナンスの低さは懸念を引き起こしています。しかし、デビ大統領が軍事クーデターで暗殺されたという証拠は見つかっていません...」
デビ大統領は1990年の軍事クーデターで権力を握り、アフリカサヘル地域におけるイスラムジハード組織ボコ・ハラムとの戦争では、フランスや他の西側諸国と緊密に連携する主要同盟国のひとりだった。
チャドの変化とコンコードの最前線（FACT）と呼ばれる反政府勢力は4月24日の声明で、デビ一族による支配の終焉を要求した。「私たちは暫定評議会と話し合うつもりです。しかし、デビ大統領を殺し、政権を奪取した息子のマハマトと軍事クーデターは支持しません。マハマトは反逆者です」
しかし、暫定評議会は25日の声明でFACTの申し出を却下した。
暫定評議会のアゼム・ベルメンダオ・アグナ報道官は声明の中で、「チャドとアフリカ中部地域の平和を脅かしている無法者と交渉するつもりはない」と述べた。「彼らは反逆者です。チャドは反政府勢力を打倒するために戦っています」
アグナ報道官は、反政府勢力の一部が隣国ニジェールに逃亡したと述べた。「暫定評議会はニジェールの当局と協力し、戦争犯罪者を追跡しています。FACTはリビア内戦に関与した罪にも問われるでしょう。私たちはFACTとそれに関わった犯罪者をひとり残らず捕らえます」
FACTは2016年に結成された組織で、2020年末に停戦合意に至ったリビア内戦にも関与したと伝えられている。
暫定評議会は、速やかに文民政府に権力を移行するよう圧力をかけられている。アフリカ連合（AU）の平和と安全保障評議会は、デビ大統領の死と息子のマハマト軍司令官の議長就任に「重大な懸念」を表明した。しかし、マリ戦争でチャドと緊密に連携するフランスは、軍事的な解決策を推進している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は23日、デビ大統領の国葬に出席した。
