◎ジョージア州で可決された新しい投票法(選挙法)は投票にいくつかの制限を課しており、広範な論争と非難を巻き起こしている。
4月3日、ジョージア州のブライアン・ケンプ州知事(共和党)は、今夏のMLBオールスターゲームの会場をアトランタから他の州に変更したMLBの決定を厳しく非難した。
ジョージア州で可決された新しい投票法(選挙法)は投票にいくつかの制限を課しており、広範な論争と非難を巻き起こしている。
<法律の要点>
・郵送投票を要求するために新しいIDが必要になった。
・投票所で順番待ちしている有権者に飲料水や食べ物を提供できなくなった。
・投票に関連する何かしらの問題が発生した場合、州議会に投票を管理する権限を与える。
・不在者投票用のドロップボックスの数を制限する。
・すべての選挙の期日前投票期間を短縮する。
ケンプ州知事は投票法に反対するMLBが7月13日のオールスターゲームをアトランタのファンから奪ったことについて、「この決定は州内で働く市民を傷つけ、経済に長期的な影響を与えるだろう」と述べた。「私はこの戦いから撤退しないと誓約します。私たちは脅迫されていますが、決して沈黙しません」
ケンプ州知事は記者団に対し、「人々は極左のジョー・バイデン、メジャーリーグ、コカ・コーラ、デルタ航空.....を恐れていますが、私は決して恐れません」と投票法を批判している企業を非難した。
すでに3つの団体が投票法に対する訴訟を起こしており、その数はさらに増えると予想されている。
ジョージア州の共和党員は、選挙制度に対する有権者の信頼を維持する必要があると述べ、反対派は法律の主旨を理解していないと主張している。同州は昨年の大統領選挙および議会選挙の爆心地になり、世界の注目を集めた。トランプ前大統領は同州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に「11,780票を見つける」よう圧力をかけ、「私は勝ちたいんです」と嘆願したが、結果は覆らなかった。
<ジョージア州の選挙結果>
バイデン:2,473,633票
トランプ:2,461,854票(ー11,779票)
トランプ前大統領が見つけてほしかった票:11,780票
MLBファンは、オールスターゲームの会場が変更になったことに様々な反応を見せた。
ミシシッピ州エリスビルの生涯ブレーブスファン、パトリック・スミス氏はAP通信の取材に対し、「MLBは正しい決断を下したと思います」と述べた。「反対しなれければ、ファンは二極化したでしょう」
ハワイ州カフルイのロレ・スウィートマン氏はMLBの決定を非難した。「MLBはただ野球を楽しみたい、チームをサポートしたいと考えているファンを考慮せず、選挙法に反対しなければならないという圧力に屈しました。スポーツから政治を取り除く必要があります。しかし、私は3人の孫と一緒に試合を観戦します。孫は選手の活躍を楽しみにしています」
イリノイ州エルクグローブヴィレッジのMLBファン、ディック・パガーノ氏は、今年はテレビ中継も観戦もしないと述べた。「MLBは自分の足を撃ちました。ハンク・アーロンはこの決定を嘆いているでしょう」
MLBとアトランタ・ブレーブスの伝説と称えられている故ハンク・アーロン氏は、ベーブ・ルースのホームラン記録に迫った時、広範な憎悪のメールと脅迫に直面した。
MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は2日の声明で、選手と昨年のジョージ・フロイド事件後に結成された黒人選手同盟などと話し合い、アトランタのオールスターゲームとアマチュアドラフトを移動することに決めたと述べた。「球団関係者、現役選手、元選手、組織、組合などと話し合い、変更を決断しました。この決定はMLBの価値観を示す方法のひとつだと信じています」
一方、ケンプ州知事は本拠地のNY州で有権者の投票へのアクセスを改善しようとしないMLBを厳しく非難した。NY州の期日前投票の日数はジョージア州より短い。
トランプ前大統領はMLBの決定を爆破した。
バラク・オバマ元大統領はMLBの決定を祝福し、「野球は模範を示した」と述べた。
一方、サウスカロライナ州の共和党員、ジェフ・ダンカン議員はMLBの独占禁止法の免除を停止する法案の起草をスタッフに指示したと発表した。「大多数のアメリカ人は、投票にIDを要求することを支持しています。安全な選挙に反対する組織は法の下で精査されるべきでしょう」
最高裁判所は1922年にMLBの反トラスト法免除判決を下している。なお、MLB以外で独占禁止法を免除されているプロスポーツはない。