◎記者たちは消毒されながらも首相の蛮行をばっちり撮影した。
3月9日、タイのプラユット・チャンオチャ首相は報道関係者をアルコール消毒した。
首都バンコクの政府庁舎で取材に応じたチャンオチャ首相は記者の質問攻撃にウンザリし、消毒剤を突然噴霧し始めた。消毒された記者のひとりは顔をしかめ、「ウッ!」と唸った。
チャンオチャ首相は内閣改造の可能性について繰り返し質問を受けた際、「今はタイの経済に注力しなければならない」と主張し、マスクで口元を抑えながらスプレーをまき散らした。なお、最前列の記者たちは消毒されながらも首相の蛮行をばっちり撮影している。
2014年5月の軍事クーデターでタクシン政権を打倒した元陸軍大将は、予測できない行動を取ることで知られている。
チャンオチャ首相は以前、取材中の記者の耳を愛撫し物議を醸した。また、カメラマンにバナナの皮を投げつけたこともある。
2018年にはイベント後の記者会見を拒否し、実物大の写真パネルを用意したうえで、「これに質問しなさい」と述べている。記者はパネルに質問したが、応答はなかった。
2015年8月、文民政権を打ち負かした元陸軍大将は、ラーマ9世の命を受け、首相に就任した。
タイでは昨年10月以来、世界一裕福なラーマ10世(ワチラーロンコーン)と軍事政権に対する抗議デモが続いており、チャンオチャ首相は厳しく取り締まれないことにいら立っていたと伝えられている。
消毒された地元メディアの記者は報道の中で、「首相は報道関係者を消毒しました。私たちは消毒された理由を知る権利があります。傷害罪の適応もあり得るでしょう」と憤慨した。