▽ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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米政府が中米ハイチで猛威を振るう2つのギャングを外国テロ組織に指定する予定だ。現地メディアが4月30日に報じた。
それによると、トランプ政権はハイチの首都ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と中部アルティボニット県に拠点を置く「グラン・グリフ」を外国テロ組織に指定する旨を連邦議会に通知したという。
AP通信は政府関係者の話しとして、「上下両院の外交委員会が4月23日にこの通知を受けとった」と伝えている。
米国務省は2月、世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル」やメキシコ№2の「ハリスコ新世代」、ラ・ファミリア・ミチョアカーナ、ベネズエラのトレンデアラグアやエルサルバドルのマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)など、中南米の8つの麻薬組織を「外国テロ組織」に指定。カナダもこれに続いた。
米国土安全保障省(DHS)は2月、約50万人のハイチ人を強制送還から守る一時保護資格(TPS)の延長を取りやめた。
さらにトランプ政権は3月中旬、1798年に制定され、第2次世界大戦中に日系人の強制収容で使われたことで知られる敵性外国人法に基づき、トレンデアラグアの構成員約250人をエルサルバドルの刑務所に送った。
トランプ(Donald Trump)大統領は29日、就任100日目を祝うミシガン州の集会で外国テロ組織への指定を称賛。強制送還を継続し、テロ組織を打ち負かすと誓った。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。
一連の暴力とギャング間抗争により、100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。
ヴィヴ・アンサムは先月、中部ミバレへの攻撃を開始し、全域を制圧。刑務所から刑務官を追い払い、約500人の受刑者を解放した。
国連は30日、ハイチで1月1日から3月31日までの間に、ギャング、自衛組織、その他住民が関与する暴力や治安部隊の作戦中に少なくとも1617人が死亡し、580人が負傷したと明らかにした。