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ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2021年12月14日/ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images/AFP通信)

中米ハイチで人口の半数以上が今年6月までに深刻な食糧不安に見舞われる可能性があり、国連が警鐘を鳴らしている。

世界食糧計画(WFP)は18日、ハイチ首都ポルトープランスの避難所などに身を寄せる市民少なくとも8400人が餓死する恐れがあると警告した。

WFPの食料安全保障・栄養分析を担当するバウアー(Jean-Martin Bauer)氏はハイチの現状について、「ギャングの絶え間ない暴力と進行中の経済破綻が原因である」と指摘している。

それによると、深刻な食糧不安に直面している人々の数は昨年から30万人以上増加し、約570万人に達したという。これは総合的食料安全保障レベル分類(IPC)のフェーズ3以上を指す。

フェーズ3は危機レベルの飢餓と定義され、フェーズ4は緊急事態、フェーズ5は大災害または飢饉とみなされる。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。

一連の暴力とギャング間抗争により、100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。

WFPはハイチでの活動を拡大し、今年に入ってから130万人以上に支援を提供。3月は過去最高の100万人を支援した。

しかし、ニーズはリソースを上回っており、WFPは今後6ヶ月間援助活動を継続するためには5370万ドル(約76億円)の緊急支援が必要と訴えている。

WFPは19日、ウェブサイトに掲載した声明で、「我々は今、飢饉を食い止めるために戦っている」と書いた。

WFPは食料援助に加え、国内避難民への長期的支援も行っている。今年に入り、WFPは11万2000人以上の避難民に74万食の温かい食事を提供した。

またWFPはギャングの支配下にある地域へのアクセスを確保し、支援が届きにくい複数のコミュニティに多くの食料を届けた。

さらに、WFPは国連人道支援航空サービス(UNHAS)も運営し、援助要員と物資が必要な地域社会に確実に届くよう、重要なライフラインとしての役割を果たし続けている。

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