▽今回の選挙は昨年11月に不人気だったショルツ連立政権が崩壊した後、予定より7ヶ月早く実施された。
のメルツ党首(ドイツ通信社/AP通信).jpg)
ドイツで23日、総選挙が行われ、世論調査の予想通り、最大野党「キリスト教民主同盟(CDU)」の勝利が確実となった。
公共放送ZDFの出口調査と部分的な集計に基づく予測では、CDUの得票率は28.5%、反移民・反イスラム・反EUを公約に掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が20.5%で2位、与党「社会民主党(SPD)」は戦後最低を更新する16.4%。
CDUのメルツ(Friedrich Merz)党首は35%前後の得票率を目指していたが、最後の最後で精彩を欠き、AfDを含む他党に票を奪われた。
一方、AfDは支持率を倍増させ、第2党に躍進。ワイデル(Alice Weidel)党首はこの結果について、「歴史的であり、これは国民が移民の受け入れにウンザリしていることを示している」と語った。
SPDのショルツ(Olaf Scholz)首相は敗北を認め、CDUを称賛した。公共ARDとZDFの予測では、同党は3位に終わり、議会選挙では戦後最悪の結果となる見通し。
メルツ氏は勝利演説で「イースター休暇(復活祭)までに連立政権を樹立したい」と述べた。しかし、それは難しいかもしれない。
今回の選挙は昨年11月に不人気だったショルツ連立政権が崩壊した後、予定より7ヶ月早く実施された。経済への不安や移民問題など、不満が広がり、どの党も熱狂的な支持は得られなかった。
選挙戦は欧州最大の経済大国であるドイツが数年間低迷していることへの懸念と、移民を抑制する圧力に支配されていた。さらにウクライナの将来と欧州の対米同盟をめぐる不確実性の高まりも混乱に拍車をかけた。
CDUは移民の受け入れを大幅に制限すると公約する一方、AfDとの連立は否定している。
ドイツ通信社(dpa)によると、AfDのワイデル氏はCDUに連立交渉に応じる用意があることを伝えたという。
CDUは先月、反移民法案でAfDと連携し、物議を醸した。首都ベルリンでは今月初め、CDUに抗議する大規模集会が行われた。
メルツ氏はこの法案がもたらした混乱の火消しに追われ、一部のCDU支持者から懸念の声が高まる中、AfDと連立を組んだり、協力関係を構築することは絶対にないと言明した。
主要政党は「ファイアウォール」と呼ばれる政策を共有し、極右との連携を拒んでいる。
ファイアウオールは「主流政党はAfDとのいかなる協力も排除する」というドイツ政界の長年のタブーを指す。
ショルツ氏のSPDの得票率は戦後最低だった2017年の20.5%を下回る見通し。環境保護主義を掲げる連立政権の「緑の党」は約12%となっている。
崩壊した連立政権の一翼であった自由民主党は議席の獲得に必要なしきい値の5%を下回る見通し。