▽シリアは2010年に日量38万バレルの原油を輸出。翌年内戦が勃発し、石油パイプラインや施設を含む主要インフラは壊滅的な被害を受けた。
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シリア北東部のクルド当局が支配する油田が首都ダマスカスへの石油供給を開始した。暫定政権の石油省が22日、明らかにした。
石油省の報道官はロイター通信の取材に対し、「石油は北東部2県の油田からダマスカスに供給されている」と語った。
また報道官は、「これはアサド前政権とクルド当局間の以前の取り決めを修正したものに基づいている」とした。
アサド(Bashar Assad)前大統領は24年12月、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。
石油省によると、シャラア(Ahmed al-Sharaa、通称ジャウラニ)暫定大統領はアサド政権とつながりのある人々の利益になる取り決めを変更するよう命じたという。
ロイター通信はクルド当局者の話しとして、「この取引により、クルド人自治政府は2つの油田から日量5000バレルの原油をダマスカスに送ることに合意した」と伝えている。
シリアは2010年に日量38万バレルの原油を輸出。翌年内戦が勃発し、石油パイプラインや施設を含む主要インフラは壊滅的な被害を受けた。
油田の所有者は何度も変わり、最終的にクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」の管理下に置かれた。しかし、米欧の制裁により、合法的な輸出と輸入の両方が困難になった。
米国は1月に一部のエネルギー取引を許可する6ヶ月間の制裁免除を発表。EUもエネルギー、輸送、復興に関連する制裁を停止する予定だ。