▽2023年6月、ギリシャ南部ピロス沖の国際水域で超過密状態の移民船が沈没。ギリシャ沿岸警備隊は82人の遺体を収容し、104人を救助したが、500人以上が今も行方不明のままである。
![](https://kagonma-info.com/wp-content/uploads/2023/06/2023年6月14日/ギリシャ沖で沈没した漁船2(Greek-coast-guard/AP通信).jpg)
人権保護などを目的とする国際機関「欧州評議会」は11日、ギリシャ政府に対し、2023年に同国沖で発生した移民船沈没事故の調査を進め、責任の所在を明確にするよう求めた。
欧州評議会はこの事故を調査したギリシャのオンブズマンによる最近の報告書を引用し、「ギリシャ沿岸警備隊員は地中海史上最悪と呼ばれる移民船沈没事故を防げなかった」と主張した。
2023年6月、ギリシャ南部ピロス沖の国際水域で超過密状態の移民船が沈没。ギリシャ沿岸警備隊は82人の遺体を収容し、104人を救助したが、500人以上が今も行方不明のままである。
救助された104人のうち12人がパキスタン人であった。
生存者たちはギリシャ沿岸警備隊が船が転覆する前に発信した救難信号に対応できなかったと主張しているが、政府はこの主張に強く反発している。
報告書を作成したギリシャのオンブズマンは生存者や関係者の話しなどとして、「沿岸警備隊は危機が差し迫っていることを認識しながらも、無視した兆候がみられる」と指摘している。
政府は先週、この報告書を「偽物」と一蹴。国のために命がけで働く沿岸警備隊に全幅の信頼を置いていると強調した。
また政府はオンブズマンが生存者の主張を不当に聞き入れ、流布していると主張した。
ギリシャの裁判所は昨年、この沈没事故を引き起こしたとして起訴された9人のエジプト人に対する訴えを棄却。国際水域で起きた事故であり、ギリシャに管轄権はないと裁定した。
ギリシャは豊かな西欧への亡命を求める移民の中継地であり、トルコ西岸とアフリカ北部リビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織が頻繁に利用している。
その多くがトルコ沿岸からギリシャの島々へボートで横断を試みる。
ギリシャ当局は中東の紛争が移民の急増をまねていると指摘。昨年拘束した不法移民は6万人を超え、23年比で50%近く増加した。最も多かったのはシリア人であった。