▽ニカラグアは中米で最も貧しい国のひとつであり、オルテガ夫妻の独裁の下、国際的に孤立している。
![](https://kagonma-info.com/wp-content/uploads/2022/04/2022年1月7日/ニカラグア、首都マナグアの通り(Maynor-Valenzuela/ロイター通信).jpg)
国際通貨基金(IMF)は7日、中米ニカラグアの経済成長率が鈍化するという見通しを示した。
同国はオルテガ(Daniel Ortega)大統領と妻のムリジョ(Rosario Murillo)副大統領の統治下に置かれ、経済関係のデータを公表していない。
IMFは7日に公開したレポートの中でニカラグアのGDPについて、「海外からの送金により、25年の成長率は24年と同様に、4%程度にとどまる」という見方を示した。
23年の成長率は22年比で4.6%増(推定)であった。
ニカラグアは中米で最も貧しい国のひとつであり、オルテガ夫妻の独裁の下、国際的に孤立している。
海外からの送金はニカラグアのGDPの4分の1強を占めている。
IMFが成長を圧迫する要因として挙げたのは民間部門の投資縮小と移民の急増による国内労働力の減少である。
IMFによると、今後、国内外の政治情勢や法の支配の悪化により、ビジネスを行うコストを潜在的に増大させることによって、経済パフォーマンスに影響を与える可能性があるという。
IMFはニカラグアに対し、法の支配を大幅に改善し、司法の独立を守る必要性を強調した。また、年金制度改革、透明性の強化、国営企業に対する監督の改善など、財政リスクの軽減を求めた。
オルテガ氏の与党・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)が全議席を独占する議会は先月末、オルテガ氏が提案した憲法改正案を全会一致で採択した。
これにより、大統領府に司法と立法を「調整」する権限が正式に与えられた。
また警察を支援するために軍隊に介入するよう命令することを可能にし、命令に基づいて治安当局者が一時的に行政府の役職に就くことが可能になった。
さらにメディアに対する国家統制を拡大し、オルテガ氏の妻であるムリジョ氏を「共同大統領」に任命。これに合わせて大統領の任期を6年に延長した。
これまでの憲法改正により、大統領の再選制限はすでに撤廃されている。
オルテガ氏が死去した場合、ムリジョ氏が自動的に政権を握ることになり、新たな選挙は必要ない。
オルテガ氏は2018年の反政府デモを弾圧して以来、5000以上のNGOを閉鎖または非合法化し、野党政治家を含む数千人を恣意的に逮捕・投獄してきた。裁判は刑務所内で行われる。
弾圧に屈したカトリック教会やNGO施設などは軒並み資産を差し押さえられた。
2018年の弾圧以来、数十万人が国外に流出。その大半が隣国コスタリカに渡り、米国を目指している。