▽欧州最大の経済大国のひとつであるフランスの混乱は投資家を不安に陥れ、20カ国からなるユーロ圏に打撃を与えた。
フランス国民議会(下院、定数577)は5日、バイル少数政権に対する内閣不信任決議案を反対多数で否決した。
これにより、EUのリーダー格であるフランスの政治的混乱はひとまず収束した。
バイル(Francois Bayrou)首相は特別行政権を行使し、採決なしで25年予算案を承認。憲法49条3項を行使すれば、採決を省略して予算案を成立させることができる。
左派政党「不屈のフランス(LFI)」はこれを受け、不信任案を提出した。
採決の結果、不信任案を支持した議員は128人にとどまった。極右「国民連合(RN)」はこれに反対した。
欧州最大の経済大国のひとつであるフランスの混乱は投資家を不安に陥れ、20カ国からなるユーロ圏に打撃を与えた。
フランス政治はマクロン(Emmanuel Macron)大統領が昨年、解散総選挙に踏み切って以来、混乱が続いている。中道のベテランであるバイル氏は前政権の崩壊につながった予算問題による政治危機の中、24年12月に就任した。
バイル氏は5日、「不完全な予算」であることを認めた。
25年予算は総額500億ユーロに相当する歳出削減と増税を含め、フランスの財政赤字をGDP比5.4%まで削減することを意図している。
バイル氏は妥協点を探る協議の中で、公立病院への予算増額に同意。国立教育機関においては4000人の雇用を削減しないことを約束した。
またバイル氏は定年を62歳から64歳に引き上げるという争点となっている計画について、再交渉に応じると約束した。