▽トランプ氏は他のNATO加盟国が十分な防衛費を費やしていないと非難。「必要な防衛費を支出していない国は攻撃を受けても守らない」と脅している。
NATOのルッテ(Mark Rutte)事務総長は3日、トランプ米政権と欧州諸国の溝が深まる中、「米国抜きでの欧州防衛戦略はあり得ない」と強調した。
ルッテ氏はブリュッセルの記者団に対し、貿易問題をめぐる欧州と米国の緊張がNATOの集団防衛に影響を与えることはないと語った。
またルッテ氏は米国抜きで欧州の安全保障を確立するという考えも否定。「愚かなことだ」と一蹴した。
ルッテ氏はロシアを含む地政学的な脅威を引き合いに出し、「我々は常につながっていなければならない」と強調した。「結束を保つことが最善策であり、ホワイトハウスを含め、米国内でも同じような考えが蔓延していることを西側諸国は知っている...」
トランプ氏は他のNATO加盟国が十分な防衛費を費やしていないと非難。「必要な防衛費を支出していない国は攻撃を受けても守らない」と脅している。
ロシアが2014年にウクライナ南部クリミア半島を併合した後、NATOは冷戦終結時に始まった防衛費削減を止め、目標値をGDP比2%とすることで合意した。
NATOの首脳たちはロシアがウクライナへの侵攻を開始して以来、2%という目標を上限ではなく下限とすることで合意している。
しかし、トランプ氏は先月、これを5%に引き上げるよう要求した。
ルッテ氏は「米国抜きの欧州防衛はうまくいかない」としたうえで、トランプ氏が引き起こした貿易摩擦が抑止力を強固に保つというNATOのコミットメントに影響を与えることはないと強調した。