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▽同国では昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
2025年1月27日/セルビア、首都ベオグラード、政府与党に抗議するデモ(AP通信)

セルビアのブチェビッチ(Milos Vucevic)首相が28日、学生ユニオンが主導する前例のない抗議デモと政府への圧力を鎮めるため、辞任を表明した。

ブチェビッチ氏は記者会見で「抗議デモを鎮め、対話に応じるよう皆さんに呼びかけたい」と語った。

しかし、複数の学生ユニオンがブチェビッチ氏を非難。「辞めるのではなく、警察に出頭しろ」「ブチッチと一緒にロシアに帰れ」などとSNSに投稿した。

同国では昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。

このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。

この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。

ノビサドの事故は市中心部の鉄道駅の入り口で昨年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む15人が死亡、2人が重傷を負った。

この駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。

野党は広範な汚職とずさんな改修計画が事故を招いたとして、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に辞任を要求している。駅の落成式には多くの政府高官が出席していた。

ノビサドの市長も28日に辞任した。

ブチェビッチ氏の辞任により、議会選挙が前倒しされる可能性が出てきた。議会は30日以内に後任を選ぶか、解散する。

デモ隊を「外国勢力のスパイ」と呼んでいる公共放送RTSは28日、ブチッチ氏が28日夕方の閣議で今後の方針を決めると報じた。

野党は現在、ブチッチ氏の支配下にある選挙管理委員会や司法の改革など、公正な選挙に向けた条件を整えるため、野党が参加する暫定政権を立ち上げるよう求めている。

ブチェビッチ氏は2012~22年までノビサド市長を務め、23年12月の議会選で党首を務める与党・セルビア進歩党(SNS)が圧勝。24年5月に首相に就任した。

ブチェビッチ氏は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、弁護士、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めている。

ブチッチ氏はデモ隊を「外国勢力」と呼び、公共放送RTSもデモ隊が外国勢力から報酬を得ていると主張。「国家転覆を企てている」と連日放送してきた。

一部の専門家はブチッチ氏の背後にロシアがいると主張。ブチッチ氏はEU加盟を目指しているにもかかわらず、ウクライナ戦争における西側の対ロシア制裁に参加しておらず、中立を維持している。

検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。

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