▽政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の東部・北キブ州で軍と同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の戦闘が激化している。
地元当局は21日、M23が州都ゴマに通じる重要な補給路である南キブ州ミノバを占領したと発表した。
それによると、M23はミノバだけでなく、その周辺の4町も占領したという。
軍は21日、M23がミノバと周辺の町で攻勢を強めていると声明を出したが、占領には言及しなかった。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
国連によると、軍とM23による戦闘は数カ月前に激化し、今年に入ってから23万7000人以上が避難を余儀なくされたという。
ゴマの住民はM23が攻め込んでくるのではないかと心配している。
AP通信の取材に応じた男性は、「M23だけでなく、他のテロ組織にも警戒する必要があるので、キンシャサに引っ越すつもりだ」と語った。
M23はこの数週間、北キブ州で大きく前進したとされる。今月初めにはゴマの近郊に位置するマシシとカタレを支配下に置いたとされる。
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
政府はISIS系組織「民主同盟軍(ADF)」の攻撃にも対処する必要があり、厳しい戦いを強いられている。
ADFはウガンダで発足した反政府勢力。1990年代半ばから北キブ州などに拠点を置き、民間人数千人を虐殺したと告発されている。