▽軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は20日、アフリカ北東部・スーダンの北ダルフール州で戦闘が激化し、この半年で一般市民700人以上が死亡したと明らかにした。
OHCHRのターク(Volker Turk)高等弁務官は声明で、軍事政権と対立する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」に対し、北ダルフール州エルファーシルの包囲を解除するよう求めた。
またターク氏は「この包囲と容赦ない戦闘により、毎日多くの人命が危険にさらされている」と述べた。
ターク氏によると、エルファーシルでは今年5月に戦闘が始まって以来、少なくとも782人の一般市民が死亡、1100人以上が負傷したという。
OHCHRは市民への聞き取りや目撃証言などにより死傷者数を推定している。正確な死傷者数は分からず、調査が進む目途も経っていない。
軍政とRSFは昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1300万人以上が避難を余儀なくされ、うち300万~350万人が周辺国に逃れたと推定されている。
激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっていない。
OHCHRはエルファーシルの戦況について、「RSFによる人口密集への定期的かつ執拗な砲撃と、軍による報復空爆が続いている」と報告している。
RSFはダルフール5州のうち4州(東、西、中央、南)を支配するも、軍政とその支援民兵が激しい抵抗を続ける北ダルフール州は制圧できずにいる。
ターク氏は「このような民間人への攻撃は戦争犯罪に相当する可能性がある」と非難した。